■ギュネイヤクト・ドーガ戦の囮によるフェイント
こうした盾を使ったアムロの咄嗟の機転は、一年戦争後の時代にも見られる。1988年公開の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でのギュネイ・ガス戦もその1つだ。
ギュネイがアムロに接近した際に、アムロはバズーカとシールドを、おもむろに投げ捨てた。ギュネイがそれに注意を引かれた隙を見て、ギュネイのヤクト・ドーガの後頭部にビームライフルを命中させ、撃破している。
これは一撃でやられたギュネイが弱いのではない。ギュネイはワンオフ機のヤクト・ドーガを与えられるほどの手練れで、ジェガンの編隊をものともせずに撃墜したり、多数の核ミサイルを同時に撃墜するなど、まぎれもないエースパイロットである。そんなギュネイ相手だからこそ、アムロは搦手を使ったのであろう。
宇宙世紀最強パイロットの1人であるアムロを、バズーカとシールドに注意しつつ相手にするのは、誰であっても無理であろう。かといって、バズーカでの遠隔射撃の可能性も考えられるため、バズーカを無視も出来ない。ギュネイはアムロに近づいた時点で、もはや撃墜必至だったことが分かる。
盾を攻撃に使うことはアムロ以外のキャラクターにもあるが、他に何もできない場合の最後のあがきで投げたり、シールド自体が攻撃用だったりする場合が多い。
そんな中で、アムロは詰め将棋のように、計算ずくで盾を使用する。アニメにおいてもこういったキャラクターは珍しい。それがアムロの、ひいては『ガンダム』シリーズの、オンリーワンの魅力となったのだろう。