1992年から『週刊少年マガジン』で連載が始まった漫画『金田一少年の事件簿』は、日本テレビ系列で5シリーズに渡ってドラマ化されてきた人気作品である。殺人事件を扱う作品ながらホラーな描写も多く、「怖いのに面白い」と多くの視聴者の支持を得たシリーズだ。
初放送は1995年で、初代「金田一少年」を演じたのは堂本剛さんである。2期にわたって放送された初代作は平均視聴率20%を超えるほどの高視聴率を記録したため、「金田一といえば堂本剛版」という方も多いだろう。
数々の有名俳優が犯人役で出演していたが、中には意外な俳優が犯人以外の脇役で出演していたこともある。今回は、初代ドラマ「金田一」の豪華すぎるキャストを振り返ってみようと思う。
■銭形平次の末裔!金田一一のライバル探偵を演じた内野聖陽さん
1993年に俳優としてデビューを果たして以来、『JIN-仁-』や『きのう何食べた?』など、数々のドラマで名演技を披露し続けている内野聖陽さん。2021年には紫綬褒章も受賞しており、名実ともに今をときめく実力派俳優の一人だ。
そんな内野さんが出演していたのは、1995年放送の第一シリーズの完結編「蝋人形城殺人事件」。最高視聴率29.9%という、金田一シリーズの中でも人気が高かったエピソードである。
内野さんにとって『金田一少年の事件簿』はテレビドラマ5作目の出演作に当たり、演じていたのは”江戸一の岡っ引き・銭形平次から数えて6代目の子孫となる銭形ケンタロウだ。原作でこの役柄に当たるのは刑事コロンボと思われるロス市警の名刑事の甥、エドワード・コロンボだったが、ドラマ版では内野さん演じる銭形に変更されていた。
銭形ケンタロウは、キザで自信満々な私立探偵である。バルト城で行われるMr.レッドラム主催のミステリーナイトツアーに招待されたゲストの一人として登場していて、一が仕掛けた蝋人形トリックを真っ先に暴くなど推理スキルは中々に高い。
決めセリフは、穴銭を握りながら言う「ご先祖様の名のもとに」という金田一一を意識したものだった。ストーリー的にはそこまで大きな役ではなかったが、若くイケメンな内野さんにピタリとハマっていたように思う。
■金田一シリーズ唯一の劇場版『上海魚人伝説』でメインゲストを務めた水川あさみさん
『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』は、1997年に公開された同シリーズ唯一の劇場版で、初代金田一シリーズのラストを飾った作品である。上海に住む友達のレイリーから殺された父親の謎を解いてほしいという手紙を貰った美雪と一が上海に渡り、ヤン雑技団で起こる殺人事件に挑むというあらすじだ。
この作品で、美雪の文通相手だったヤン・レイリーを演じたのが水川あさみさんである。当時の彼女は1996年に、「ヘーベルハウス」のCMでテレビデビューを果たしたばかりのフレッシュな14歳。『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』は、女優デビューとなった運命の一作である。
ヤン・レイリーは辛い過去を持つ複雑なキャラクターで、作品のメインキャストとも言える重要な役だった。セリフも多いうえに表と裏の顔の演じ分けなども必要で、新人の水川さんにとっては大きな挑戦だっただろう。
しかし、水川さんは全力でこの役に向き合い見事に演じきった。見ているこちらまで緊張感が伝わってくるような彼女の初々しさは、今振り返ってみると非常に新鮮である。