かつて『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された武論尊さん、原哲夫さんによる漫画『北斗の拳』。連載開始から40周年を迎えた今年、再度アニメ化が発表され話題を呼んでいる。
初代アニメが放映された1984年には、ほかにも数々のアニメ作品が登場し、テレビを盛り上げていた。そこで、『北斗の拳』と同時期に放映された名作アニメたちについて見ていこう。
■あの監督も手掛けた名作推理小説のアニメ版! 『名探偵ホームズ』
“ミステリー”に関するアニメといえば、『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』といったラインナップを思い浮かべる人が多いだろう。だが1984年にも、とある有名ミステリー小説をベースにしたアニメ作品が登場していた。
それが、テレビ朝日系列で放映された『名探偵ホームズ』だ。タイトルが示す通り、小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを原作に、登場人物や舞台を刷新したオリジナルアニメとなっている。
主人公のホームズはもちろん、小説でもおなじみの助手の医師・ワトソンや宿敵・モリアーティといった顔ぶれが登場するのだが、原作に比べてそのキャラクター像はほぼ別物。
とくに宿敵・モリアーティは原作小説では“悪の天才”といった位置づけのキャラだったが、本作では部下を引き連れ悪事を企てる知能犯といったポジションにされている。
そしてなにより、本作の最大の特徴は登場人物がすべて“犬”になっているという点。もともとイタリアの国営放送局から東京ムービー新社(現:トムス・エンタテインメント)に共同制作が持ちかけられたという背景があり、登場人物を“犬”で表現する点についてはイタリア側の要望だったようだ。
さらに初期の6編にいたっては、「スタジオジブリ」でおなじみの宮崎駿さんが手掛けていたりと、スタッフ陣にも豪華な顔ぶれが目立つ。
原作のような濃厚な推理展開こそないものの、モリアーティ一味とホームズたちをはじめ、警官隊も入り乱れるドタバタとしたストーリー展開は、終始明るい雰囲気で視聴者を楽しませてくれる。
世界的に有名な推理小説を下地にしつつ、少年・少女を虜にする冒険活劇として生まれ変わった、非常にハイクオリティな一作だった。
■巨匠が贈る新たな形の“ゴルフ”漫画…『あした天気になあれ』
ちばてつやさんといえば、『あしたのジョー』、『ハリスの旋風』、『のたり松太郎』など数々のヒット作を世に送り出してきた人気漫画家だ。そんなちばさんが1981年から10年にわたって『週刊少年マガジン』(講談社)で連載していた『あした天気になあれ』も、1984年にアニメ化された。
本作は下町に住む中学生を主人公に、彼がプロゴルファーを目指していくストーリー。“ゴルフ”という比較的大人向けなスポーツをテーマとしているが、主人公・向太陽の柔らかなキャラクター性にも表れているように、全体を通してゴルフの知識がない人でも無理なく読み進められるような明るい雰囲気の作品である。
とくに太陽がショットの際に放つ掛け声「チャー・シュー・メン!」は、当時の読者たちにおおいにうけ、子どもたちの間で大流行することとなった。
そんな本作をアニメ化したのは土田プロダクション。原作の柔らかな雰囲気はそのままに、コミックス26巻までの構成をアレンジしたストーリー展開となっている。
また、毎回、アニメの最後に特別コーナー「ワンポイント・レッスン」が設けられていたのも大きなポイント。ゴルフ解説者の戸張捷さんがゴルフの歴史やマナーを教えるコーナーとなっており、ゴルフについて視聴者がより深い学びを得ることもできた。
原作漫画同様、視聴者に“ゴルフ”の魅力を気付かせてくれる、ゴルフアニメを語るうえでは外すことのできない一作だ。