■「いいさ撃てよ お前が元に戻らないなら生きていてもしょうがない」
互いを想い合い、傍から見ればいいカップルにしか見えないが、なにかと煮え切らない獠と香。
『シティーハンター2』49、50話『さらばハードボイルド・シティー』では、その香がブラックアーミーと呼ばれるテロリストに催眠術をかけられ記憶をなくし操られ、新宿に仕掛けられた原爆を爆発させようとしてしまう。
警視庁の誘導により人気のなくなった新宿で、香を助けるべく獠はブラックアーミーと対決。別に動いていた冴子によりブラックアーミーのボスは抑えられるが一足遅く、香は銃で獠の左足を打ち抜き、さらに起爆装置も起動させてしまう。
死へのカウントダウンが進むなか、なお獠に銃口を向け続ける香。さすがの獠も覚悟したのかもしれない。「いいさ撃てよ お前が元に戻らないなら生きていてもしょうがない」と普段は出さない本音を語り、「お前を泣かす男が今はお前を……」と、アニメシリーズとしては初めて2人はキスをかわす。
その後、獠が放った最後の弾丸により原爆の装置は解除されことなきを得たが、やはり最終的には香のことを一番に想う彼の言動に、グッと来るものがあった。
今回は、アニメの名シーンを通して冴羽獠の魅力がわかるグッとくる言動を紹介してきた。普段はお下劣で女好きな獠であるが、もちろんシティーハンターとしてスイーパーの腕は超一流、また、本当に悲しみ苦しんでいる人には心から寄り添うことができる男だった。そして、なんだかんだ言っても香のことを一番に想っているところがまた良い。
30年の時を経ても色褪せない名作は、これからも読者の心をグッと掴み続けるのだろう。