『シティーハンター』冴羽獠のグッとくる言動 “お下劣”で“女好き”…それでも惹かれるのはなぜ? の画像
『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』[DVD](アニプレックス)

 1991年の連載終了から30年以上が経つ、北条司氏の『シティーハンター』。今年2023年に新作映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』が公開され、来年2024年には鈴木亮平さん主演の実写映画がNetflixで全世界配信されるなど、現在再び盛り上がりを見せている。

 そんな『シティーハンター』の主人公・冴羽獠はお下劣で無類の女好き。美人の依頼人には必ずと言っていいほど“もっこり”を迫り、相棒である槇村香からは毎回のように100tハンマーで殴られていた印象が強い。

 しかしそれでも、依頼人である女性たちは獠に惹かれ、そして、読者である私たちも気づけば虜になっていた。そこで今回は、アニメの名シーンを通して獠の魅力がわかるグッとくる言動を紹介していきたい。

■「依頼料はあの世から送ってもらう」

 まずは、本作では数少ない準レギュラーキャラの1人である野上冴子との話から。

 冴子は“警視庁の女狐”とも呼ばれるやり手の美人刑事で、捜査・格闘・庁内での政治など、どの能力をとっても非常に優秀である。そんな冴子に獠も夢中で、作中ではよく“一発、もっこり”をダシにいいようにこき使われていた。「一発」と書かれた、いつ使えるかもわからない冴子への貸しカードを蛇腹で持ち歩いていた姿が健気である。

 アニメ『シティーハンター’ 91』第11話「傷だらけのトリガー! 冴子が愛した刑事」は、タイトル通り冴子が愛した朝倉という男が登場する回だった。朝倉はインターポールの警部で、冴子とは過去に何か深い関係があったようだが、作中では多く語られていない。

 そんな朝倉は台湾マフィアに妻子を殺され、敵を討とうと日本で捜査していたが、返り討ちに遭って殉職してしまう。朝倉の死を悲しむ冴子に獠は「依頼料はあの世から送ってもらう」と言い、敵アジトに殴り込みマフィアを一掃。冴子はボスを逮捕し、朝倉の無念を晴らす。

 事件は解決したが「私の愛した男はみんな死んでいくのね」と、悲しみを募らせる冴子に「そいつはどうかな 俺はまだ死ぬつもりはないが」と、優しく語りかける獠。その際、「ハンカチを忘れちゃったの」と、彼の胸を借りて泣く冴子が印象的だった。

 普段はいいように“使う側”と“使われる側”だが、獠と冴子には当人たちにしかわからない信頼関係があるようだ。

■「お前の最大のミスは、オレの依頼人を苦しめたことだ」

 2019年に公開された『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』。21世紀に入って初の完全新作であったが、そこでも冴羽獠の魅力は変わらなかった。

 本作の依頼人・進藤亜衣は亡き父の研究が原因で犯罪組織に狙われ、獠にボディーガードを依頼する。獠はモデルもこなす医大生の亜衣に案の定メロメロで、なにかと厳しい今日においても“もっこり”は健在だった。

 物語中盤、犯罪組織の襲撃に遭い、亜衣は銃を連射してしまう。獠や自分自身を守るためだったとはいえ、自分がした行為にひどく怯える亜衣。その様子を見て獠は新宿のとあるビルの屋上に亜衣を招待する。

 新宿の美しい夜景を見て、いつも通りの明るい表情を取り戻す亜衣。そして獠は何かを思うように「ここに来ると捨てたもんじゃないと思えるんだ どんなにこの街が汚れていようと どんなに変わろうとな」と投げかけると、亡き父と関係や自分がやるべきことなど現在の苦悩を打ち明ける亜衣だった。シティーハンター・冴羽獠は依頼人の心にも寄り添うのだ。

 クライマックスでは、新宿や敵の本拠地ビルで大暴れし、犯罪組織を一掃。そして「お前の最大のミスは オレの依頼人を苦しめたことだ」という最高にカッコイイ台詞とともに、今回の依頼も見事解決していた。

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