■なるほど…Z世代ならではの厳しい意見も
『ガンダム』をボーっと観賞しているように見えた娘だが、全体の感想は鋭かった。
まず、ガンダムが戦争をテーマにしていると知ると「40年以上前の作品なのに、イスラエルとハマスの戦争を彷彿とさせるアニメだね。こんなことずっと人類はやってるんだね」と言い、さらに1話では兵器を作ったアムロの父や作戦を練る指揮官など、登場人物がほぼ男性なことを受け「戦争っていうのは結局男が作るんだね。重要人物に女性がいないのも、今のロシアと似てるね」と、一言。
また、親を失い絶望で倒れこむフラウ・ボゥをアムロがビンタして励ますなど、何回かのビンタシーンにも驚いていたようだ。そのたびに娘は「どんな理由があっても暴力はいけない」と怒っていた。
さらに、“女性はこちらに来てください”と呼ばれて看護にあたるフラウ・ボゥのシーンでは、「男だってたくさんいるじゃん! なんで女だけが看護するのかな?」と、疑問を持ったようだ。
娘は大学でジェンダー教育を受けている真っ最中。なるほど、男女平等の観点から見ると、昭和の『ガンダム』にはなかなか厳しい意見が出そうだ。ただしこれは『ガンダム』に限ったことではなく、ほぼすべての昔の作品に言えることだろう。
今回『機動戦士ガンダム』を見た娘に良い点を挙げてもらうと、「昔の作品なのに未来を予見しているようでスゴい」「単に戦うだけではなく、敵を倒すのが怖いとか、登場人物の気持ちもしっかり入っているのが良かった」と、言っていた。ただ「ちょっと男性優位な内容だから、女性にはあまり人気ないんじゃない?」とも……。そんな娘の意見を聞いて、大人になったなあと感心した筆者であった。
少々批判的な意見も多かった初ガンダム観賞だが、娘は時間があれば続きも見たいとのこと。『ガンダム』はZ世代の乙女にも響いた作品と言えよう。