人によって思い入れや見解は違うだろうが、名作バトル漫画が多い『週刊少年ジャンプ』では、主人公以外に最強かつ最凶のキャラが存在している。中でも「ラオウ」、「フリーザ」、「ディオ」は長年人気を博しているボスキャラだ。
さて、ライバル誌の『週刊少年マガジン』や『週刊少年サンデー』、『週刊少年チャンピオン』にはこれらに匹敵する存在はいるだろうか。筆者独自の見解で振り返りたい。
■人間と妖怪が総出で挑んだ最凶のラスボス『うしおととら』の「白面の者」
筆者的にバトル漫画の最凶のラスボスといえば、藤田和日郎氏の『うしおととら』(週刊少年サンデー)に登場する「白面の者」がトップに君臨する。
序盤から存在が匂わされており最後に対決するという、まさにRPGでいうラスボス的存在で、人間や妖怪が総出で協力しながら戦わなければならないほどの無類の強さを誇る。
巨大な体で九つの尾を持ち、それぞれが独自の強さを誇るのだが、白面の者は単体でも凄まじく強い。口から吐き出す炎はすべてを焼き尽くし、人間や妖怪の恐怖を吸収して力を付けていくからとんでもないヤツである。
仕方なく初代お役目様が結界を張り、他の妖怪を近づけさせないように白面の者を封印していた。
そして3代目お役目様が主人公・蒼月潮の母親であり、彼女はわずか2年間しかその任から解放されていない。自分の人生を犠牲にしなければ白面の者は封じ込められないのだ。ちなみに白面の者が封じ込められていたのは約800年……。その脅威がなければ、お役目様たちにももっと幸せな人生があったのだろう。
単体でも強いのに、人の心の隙間を操る残忍さも持ち合わせている。それにしても、時折出てくる白面の分身が化けた敵キャラって、みんな気付かないのだろうか…。怪しさMAXじゃん。
獣の槍や潮の相棒でもある「とら」にまつわる白面の者との伏線もまた素晴らしかった。白面の者には人間や妖怪も数多くの犠牲を払っており、最強・最凶……そして最恐にもふさわしい大妖怪だったものだ。
■何でもありの最強の運び屋兼医者だった『Get Backers 奪還屋』の「赤屍蔵人」
『週刊少年マガジン』の最強・最凶の医者となれば、『Get Backers 奪還屋』(原作:青樹佑夜氏、作画:綾峰欄人氏)に登場するDr.ジャッカルこと「赤屍蔵人」(あかばね・くろうど)ではないだろうか。
この赤屍はバビロンシティでは「赤羽蔵人」として外科医をしているのだが、とにかく怖い。何がって全身黒づくめの出で立ちで、体内に手術道具のメスを隠し持っている。ハッキリ言ってドン引きだ。取り出すだけでも痛いじゃん……。
彼は死を超越しており(もはや人ではない)、高速のスピードと的確な技を持つ上、自分の血が混じればなんでも武器に変えることができる便利な医者だ。
初登場時は天野銀次に敗れるも、そこからは無限の強さを見せつけるようになっていき、味方になったり敵に戻ったり忙しい存在だった。雑魚キャラを切り刻む残忍さを持っており、しばしば銀次にキレられるが、自在に生み出す血まみれのメスを持つポーズが妙に色っぽい。
ちょっとお茶目な一面もあり、2.5頭身キャラとなった銀次とのやり取りはクスっとさせられる。でもこんな医者に治療してもらうのは……ちょっと嫌だな。