1979年の『機動戦士ガンダム』の放送以来、現在まで新作が作られているガンダムシリーズ。
アニメとして40年以上続く長い歴史を持つ同シリーズでは数多くのキャラクターが登場してきたが、キャラの名前を聞いただけで特定のモビルスーツを思い浮かべるもの。たとえば各作品の主人公ではガンダム系の機体が真っ先に頭に浮かび、シャア・アズナブルといえば「シャア専用ザクII」や「サザビー」などの赤い機体が連想される。
だがガンダムひとつを見ても、たとえば『機動戦士ガンダム』の第16話「セイラ出撃」で、セイラ・マスがガンダムで無断出撃し、アムロはガンキャノンでの出撃を余儀なくされた。このように、ガンダム作品の中には、定着したイメージとは違う意外な機体に乗り込むというシーンが珍しくない。
そこで今回は「意外な機体」に驚かされることが多かった1986年のテレビアニメ『機動戦士ガンダムZZ』から、3つの機体とキャラクターの組み合わせを振り返りたい。
■主人公が水陸両用機体に?
最初に紹介するのは、『機動戦士ガンダムZZ』第40話「タイガーバウムの夢」で、ジュドー・アーシタの搭乗したズゴックだ。ジュドーは『ZZ』の主人公であり、彼には主人公機のZZガンダムのイメージである。しかし作中では、旧式のズゴックに搭乗するシーンがあったのだ。
中立コロニー・タイガーバウムの支配者であるスタンパ・ハロイは、ネェル・アーガマの女性クルーをハーレムで囲うため連れて行ってしまう。ジュドーとイーノ・アッバーブは女装してスタンパ邸に潜入を試みるが、ジュドーだけは「このひどいのはつまみ出せ」とスタンパに追い出されてしまう。そして苦肉の策として、展示されていたズゴックに乗り込み、戦闘を行ったのだ。
ズゴックは『機動戦士ガンダム』に初登場した一年戦争時代の水陸両用モビルスーツ。この時代では既に旧式となっていたが、コックピットに乗ったジュドーは「外見は旧式なのにコックピットは新しい。ただの趣味じゃないな」と言っている。
そしてジュドーの乗るズゴックについて、敵対したアッグガイのパイロットも「ズゴックが……あんなにも速く動けるのか」と驚いている。ジュドーの操縦能力が、どんな機体でも発揮できるということを知らしめたシーンだ。
■女帝が乗った可愛いモビルスーツ
続いて紹介するのは、同じく第40話「タイガーバウムの夢」から、ハマーン・カーンが搭乗したアッガイだ。
ハマーンといえば、『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』両作品を通して、ニュータイプ専用モビルスーツ「キュベレイ」に搭乗するシーンが多かった。キュベレイの曲線を帯びた独特なフォルムは、いかにも女帝ハマーンらしいのだが、意外にもこの回では旧式のアッガイに搭乗するのだ。
タイガーバウムにおいて、アッグガイを撃破したジュドーのズゴックは、後方から接近してきたハマーンのアッガイに気づくと、アイアン・ネイルで先制攻撃を仕掛けた。このとき相手がハマーンとは知らないジュドーは、アッガイの動きだけを見て「強いぞ」と察知している。
アイアン・ネイルを回避されたジュドーはすかさず頭部6連装ミサイル砲を打ち込むが、アッガイに乗っていてもさすがはハマーン。右腕のメガ粒子砲(設定ではメガ粒子砲だが、バルカンにも見える)で、ズゴックのミサイル攻撃を排除した。そして、爆煙の中から飛び出すと、ジュドーと共闘していたルナンのゴックを近接攻撃一閃、吹き飛ばした。ジュドーとハマーンの決着は、邪魔が入ることになるが、意外性の強いアッガイに搭乗しても、ハマーン様はお強いのだった。