■拳王がいないのをいいことにやりたい放題のザコキャラ
最後は、こちらもかなり激しい掌返しが描かれている拳王軍のザコキャラを振り返りたい。
ザコキャラたちは、支配下の村で拳王がいないことをいいことに、村人の体に鎖をくくりつけてハンマー投げのようにして遊んでいた。当然投げられた村人は無惨な姿になってしまい、それを見た長老が「おやめください」「拳王様がおられたときはこのような事は」と止めるようにすがっても、彼もまた「きさまも知っていよう!鬼のいぬ間の洗濯という言葉をな!!」「拳王など二度と帰って来んでいいわーっ!!」と空高く投げられてしまうのだった。
あの拳王を呼び捨てとは凄い度胸だが、他にも拳王のことを呼び捨てにしているキャラが次のエピソードにも登場する。
別の村では拳王不在の間に、同じようにザコキャラたちが羽を伸ばしており、彼らは必死の形相で逃げ惑う女性たちを追いかけ回して遊んでいた。
さきほどの村と同じように老人が、「拳王様が消息を絶たれる前は こんな事は…」と嘆くが、このザコキャラは、「ぐあっはは なにが拳王だ いなくなりゃただのションベンよ!! ションベン~てな!」と豪語する。だがそこへタイミングよく帰ってきた拳王。ザコキャラは振り返ってションベンを漏らしてすぐ、巨大な黒王号の蹄に踏み潰されてしまうのだった。
この一連の流れからも、拳王が意外にもザコキャラたちに馬鹿にされているのが分かる。拳王はそんな輩たちを一瞥もせず殺しているが、内心は傷ついているかもしれない……。
『北斗の拳』では義気を大切にしているキャラが多いが、そうではないキャラもいる。自分さえ良ければいい……そんなザコキャラもたくさんいるのだ。そして、一枚岩ではないからこそ、統率が難しいのだろう。