■引き出された情報で被害拡大…『HUNTER×HUNTER』ポックルの最期
次は『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博氏)に登場するハンター・ポックルの衝撃的な死亡シーンを見てみよう。
キメラアント編で危険生物・キメラアントの調査に参加したポックルは、王の直属護衛軍・ネフェルピトーに見つかって捕虜になってしまう。彼を待っていたのは、拷問というのも生ぬるい非人道的な”尋問”だった。
第198話でポックルは頭蓋骨を割られ、剥き出しの脳みそを針でいじられる姿で再登場。「クチュクチュ」という擬音とともに脳を針でかき乱されながら、念能力の詳細を語らされるポックルに強烈なインパクトを受けた読者は多い。時折「あっ あっ」と“鳴く”ポックルの姿がトラウマになった人もいるだろう……。
情報を語りつくしたポックルは鉈で潰され、キメラアントの餌となった。人の尊厳などあったものではない。
ポックルが語った念能力の情報がキメラアントの軍団に広まり、彼らを強化するきっかけになったのもやるせない。自分が死ぬだけならまだしも、自分のせいで仲間や無辜の市民への被害が広まるのだ。死んでも死にきれないとは、まさにこのことである。
死ぬ時は安らかでありたいと願うのは、人間なら当たり前に抱く気持ちだ。だからこそ願望と正反対な非業の死は私たちの胸に突き刺さり、忘れられない記憶となる。フィクションである漫画であってもそれは変わらない。
「こんな死に方は嫌だ!」と言いたくなるキャラの死亡も、読者の心に爪痕を残す名シーンといえるだろう。