キャラクターの死は漫画における見せ場だ。死に至るまでのドラマはもちろん、どんな死に方で最期を迎えたかも読者に強い印象を与える。『鋼の錬金術師』(荒川弘氏)のヴァン・ホーエンハイムや『北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)のラオウなど、人生に満足して逝ったキャラには「死ぬならこうでありたい」と憧れることもしばしばだ。
逆に、フィクションだからこそ、えげつない”死”を描いた漫画も数多い。痛そうだったり、怖そうだったり……無残すぎる死に方もまた、忘れられない記憶を読者に刻み付ける。そこで今回は、あまりにも悲惨で「この死に方だけは絶対に嫌だ!」と叫びたくなるシーンを描いた漫画を見ていこう。
※以下にはアニメ『進撃の巨人 The Final Season完結編』の一部内容に触れています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■自分から飛び降りを強制される…『北斗の拳』アミバ
悲惨な死に方が多い漫画といえば『北斗の拳』だ。敵が「あべし!」「たわば!」など、印象的な断末魔の叫びをあげながら爆死するシーンがとても多い。正直、どの死に方も嫌だ。
それでも「この死に方だけは嫌!」をひとつ選ぶなら「残悔積歩拳」による落下死を遂げたアミバを挙げたい。
トキの名を騙って非道な人体実験をくり返したアミバは、敬愛する兄弟子と北斗神拳の名誉を傷つけられたケンシロウの怒りを買う。抵抗も虚しく、自分の意思と無関係に後退する秘孔を突く奥義「残悔積歩拳」を喰らうアミバ。その背後は、落ちれば死は免れない断崖絶壁になっていた。
あと数秒で自分から飛び降りてしまう、というシチュエーションにゾッとする。しかもこの時のアミバは両手を失っており、足を止める秘孔を突けないおまけつきだ。指さえあれば助かるのに……といわんばかりに、必死に手のない腕を動かそうとするアミバが無様すぎる。
最期にアミバは「天才の この おれが なぜぇ〜~!!」と叫びながら落下し、息絶える。最後の最後まで自分の罪と向き合えず、絶望のまま死んだその哀れさも含めて、こんな死に方はしたくない。
■踏み潰されるか、焼き殺されるか究極の二択…『進撃の巨人』地鳴らし
2023年11月にアニメが完結を迎えた『進撃の巨人』(諫山創氏)。生きたまま巨人に食われるなど残酷な最期が多い本作だが、なかでも群を抜いて恐ろしいのが、主人公のエレン・イェーガーが発動させた「地鳴らし」だ。
超大型巨人の群れが世界中を踏みつぶす「地鳴らし」の凄惨さは、アニメ第89話で克明に描かれている。まず、50mは超えているであろう巨人たちが迫りくる絶望感がすさまじい。人々は狂乱状態で逃げ出すも、人間と巨人の歩幅の差は語るまでもない。あっという間に追いつかれた人々は蟻のように踏みつぶされてしまうのだ。
子どもが踏みつぶされるシーンでは、体が潰れていく様子を事細かに描写しており「そこまで丁寧にやらなくても……」と目を覆いたくなった。
運よく踏みつけられなくても、超大型巨人は常に熱風を発しているため、近づかれただけで焼死は免れない。生きたまま巨人に踏まれて骨肉ごとぺしゃんこになるか、熱風によるやけどに苦しむか……究極の二択を迫ってくる「地鳴らし」は地獄そのものだ。
アニメでは拳銃で自ら命を絶つ者もいたが、巨人に蹂躙されるぐらいなら自分で始末をつけるほうが幸せなのかもしれない。