1986年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載開始し、世界中に熱狂的なファンを持つ荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』。テレビアニメも第6部「ストーンオーシャン」まで制作され、現在第9部である『The JOJOLands』が『ウルトラジャンプ』にて連載中の大人気シリーズだ。
これほどシリーズが続くと登場人物もかなりの人数になっており、カリスマ性のあるキャラからどこまでもゲスなキャラなど、敵味方問わず荒木氏の美学を感じる個性的なキャラクターが多く登場する。
中には人生の教訓にしたくなるようなセリフを放つ、生きざまがカッコ良すぎるキャラも多い。その筆頭は、作中でも「兄貴」と呼ばれる第5部「黄金の風」に登場するプロシュートだろう。
プロシュートはギャング組織「パッショーネ」の暗殺専門部隊の一人で、主人公のジョルノ・ジョバァーナの前に立ち塞がる。
フィレンツェ行きの特急列車内でブチャラティと交戦し車外に転落するものの、列車の車輪の隙間にしがみつき、ほとんど死にかけの状態ながらも最後まで自身の仕事を全うした。
それまで自身が語っていた通りの覚悟を持った生き様は、弟分のペッシに「兄貴の覚悟が!『言葉』でなく『心』で理解できた!」と言わしめ、マンモーニ(ママっ子)だった彼に覚悟を決めさせるほど。その生き様を称え、その崇高なる精神を見習いたいというファンも多かった。
■「君の未来へこれを持って行けッ!」
今回はこのほかにも『ジョジョ』各部の人生の先輩にしたいキャラを紹介したい。
1部「ファントムブラッド」に登場したブラフォードも敵ながら魅力的なキャラだった。ディオの能力により盟友のタルカスとともに蘇った死人であるブラフォードは、ゾンビ化によって自身の髪を自由に操り、主人公のジョナサンの前に立ち塞がる。
彼が騎士道精神にあふれていたのは、もともと生前はメアリー・スチュアートを守護していた伝説の英雄だったため。
ジョナサンとの決闘の末敗れた彼は、「君の未来へこれを持って行けッ!」と自らの剣に書かれた「LUCK(幸運)」の文字に自らの血で一文字「P」を書き足し「PLUCK(勇気)」にして、2つの言葉をジョナサンに託した。
散り際の誇り高さは、作中でも指折りの名シーンであるが、そうした人間すらも利用したディオの非道さをさらに感じる。
2部「戦闘潮流」では、あっぱれな生き方をみせたワムウが敵でありながら尊敬できるキャラだろう。
「柱の男」の一人であるワムウは、戦いにおいて自分の美学を大切にする男。自分に傷をつけたジョセフを認めて、あえてその場で殺さずに心臓に毒の指輪を埋め込み再戦の猶予を与えた。
その後ワムウはシーザーを倒すが、死を間近にしたシーザーがそれでもジョセフに解毒剤を託そうとした姿に敬意を表し、その鮮赤のシャボンを割らずに見逃した。2度もそうやって自分の認めた相手に対して情けを見せている。
最終的にワムウはジョセフに敗れるが、戦いの後、ワムウの高潔な姿に無意識に敬礼するシーンもあった。その男らしい生き様とは対照的に、リサリサとの1対1の戦いを当たり前のように裏切ったカーズのクズっぷりが逆に際立つ結果となった。