『葬送のフリーレン』だけじゃない! 『HUNTER×HUNTER』『ドラゴンボール』でも…偽りの強さや特技で敵を欺いたキャラの画像
『葬送のフリーレン』(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 体をまとうオーラの大きさで相手の力量を図る。そんな展開がバトルもののアニメや漫画では頻繁に描かれてきた。一進一退の攻防を繰り広げる強敵たちとの戦いでは、まず相手の強さを知ることが勝利への条件になってくるが、これが逆に「駆け引き」に使われることも。

 この秋からスタートしたアニメでは『葬送のフリーレン』が毎話放送のたびに話題となっている。同作第10話「強い魔法使い」では主人公・フリーレンによる強さの“欺き”が描かれたが、相手に「自分の強さを偽る」展開にはゾクゾクさせられてしまう。

■魔力を低く見せて魔族を欺くフリーレン

 山田鐘人氏、アベツカサ氏による『週刊少年サンデー』で連載中の漫画『葬送のフリーレン』。アニメ第9話より、主人公の魔法使いフリーレンは、魔王直属の幹部である「断頭台のアウラ」と戦っていた。

 アウラは「服従させる魔法(アゼリューゼ)」を扱う魔族。この魔法は、自分と相手の魔力を比べ、魔力が高い側が低い側を服従させることができるという効果がある。彼女は500年以上、魔力を鍛錬しながら生きてきた魔族であり、アウラの魔力を超える者は世界中でも数えるほどしか存在していない。よって「アゼリューゼ」は必勝の魔法のはずだった。

 だがそこを逆手に取ったのがエルフとして1000年以上生きてきたフリーレン。彼女は魔力を常時低く見せることで、自分の真の実力を隠していたのだ。

 フリーレンは、かつてともに魔王を滅ぼしたパーティのメンバーである勇者ヒンメルと出会うさらに前から、大魔法使いフランメの教えにより魔力を抑える鍛錬をしていた。正確に相手の実力を見測るアウラでも見破れないほどに精巧に、常時、魔力を偽装していたのだった。

 結果、「アゼリューゼ」を発動させたことで、フリーレンよりも魔力が低いアウラが逆に服従させられてしまったのである。あまりにも“一枚上手”なフリーレンの勝利だった。

■念の鎖をリアル鎖に見せかけたクラピカ

 このように実力を偽装するキャラたち。冨樫義博氏の漫画『HUNTER×HUNTER』では、自らの能力を隠すことの重要性がたびたび描かれているが、作中の敵キャラだけではなく読者をも欺いたのがクラピカだ。

 クラピカの念能力は、指から放たれる5本の鎖を操るもの。指には常に鎖をはめているのだが、実はこの鎖は念で出来ている。ゴンの釣竿やキルアのヨーヨーと同じく、クラピカの鎖もまた本物かと思いきや、自分の意志で消すことも可能なのだった。

 しかしそれをしないのは、自分の念系統を実物の鎖を操る操作系だと思いこませるため。念能力者同士の対決は、ちょっとした思い違いが致命的となることも少なくない。なので、念系統をミスリードさせることが有用なのだった。

 それが実証されたのが、宿敵・幻影旅団のメンバーであるウボォーギンとの戦い。ウボォーギンは旅団の中でもかなりの実力者で、ライフルや対戦車バズーカでもほぼノーダメージなほどの堅牢な守備力を有している。念を覚えたての新米ハンターでは勝ち目が無い。

 しかし、クラピカは他のスキルとの合わせ技とはいえ、ウボォーギンに勝利することができた。これは相当な下克上である。念系統を欺くことでウボォーギンのミスリードを誘い、単純な力量でのパワーバランスを覆したのだ。

 念の鎖を常時具現化するには、常に念を消費するデメリットがあるものの、それだけの価値はあったということであろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3