■ぬ~べ~もたじろいだ思いがけない強敵…『地獄先生ぬ〜べ〜』寄生虫

 なにかに寄生する生物は自然界にも多数存在するのだが、宿主になった生物に甚大な被害をもたらすものも少なくはない。

 1993年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、原作・真倉翔氏、作画・岡野剛氏のタッグが手掛けた『地獄先生ぬ〜べ〜』にも、宿主の命を脅かしたとんでもない“寄生生物”が登場している。

 郷土資料室を掃除していた生徒の一人・広が、そこで偶然にも見つけた肉団子……江戸時代に作られた“保存食”を食べてしまったことから、悪夢がはじまった。何気ない日々を過ごしていた広だったが、3日後、給食中に突如、口から巨大な芋虫が飛び出してくる。

 異常事態から病院に駆け込む広だったが、なんと体内に無数の“寄生虫”が繁殖していることが判明。放置しておくと寄生虫が肉体を食い破ってしまうため、早急に対処しようと主人公・ぬ~べ~たちは奮闘していくこととなるのだが、ここで“寄生虫”のある特徴が思いがけずぬ~べ~らを苦しめる。

 この“寄生虫”、実は霊体でもなんでもないただの“生物”であるため、ぬ〜べ〜の“鬼の手”が効力を発揮することができないのだ。無理に引きはがそうとすると、宿主となっている広の体まで傷付けてしまうため、ぬ〜べ〜も思い切った一手に出れず困惑してしまう。

 ただの虫でありながらぬ〜べ〜を大いに苦戦させ、最後は「二度とお目にかかりたくない」とまで言わしめている。

 グロテスクな見た目はもちろんのこと、体のなかで増殖していく寄生虫の描写はインパクト大で、幽霊や妖怪とはまた別の恐怖を読者に植え付けた。“寄生生物”のおぞましさをこれでもかと見せつけた、トラウマ必至のキャラクターだ。

 

 宇宙から飛来した新生物や、能力で生み出された人面瘡と、漫画作品には実に個性豊かな“寄生生物”たちが登場している。ときにおぞましく、そしてときに愛くるしく……その立ち振る舞いや親しみやすさも、千差万別である。

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