■目には見えない死骸が次々に襲い来る『ジョジョの奇妙な冒険』リンプ・ビズキット
最後に、荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』第6部「ストーンオーシャン」から、男子監の囚人であるスポーツ・マックスがエンリコ・プッチ神父によって与えられたスタンド「リンプ・ビズキット」を紹介しよう。
これは死んだ生物を見えない死骸として甦らせることができる能力で、ゾンビたちは壁や天井を自由に歩いて目についたものの脳味噌に食らいつく。まるでホラー映画に登場するゾンビそのもので、シリーズ中でも特に気持ちの悪いスタンドだ。
しかし、他のネクロマンシーと違うのは、ゾンビが見えない、つまり不可視化されているということだ。目に見えないゾンビの集団に襲われるので、徐倫たちも混乱して状況を立て直すのに時間が掛かっていた。
実際にそんなことが起こったら瞬時に対応することは不可能だろう。しかもマックス自身はすでに死んでいて、他のゾンビと同じような状態になっているので、本体を見つけて倒すことも難しい。
攻略不可能ではないかと思われたが、エルメェスが自らを囮にして誘い出し、なんとか倒すことができた。
ネクロマンシーの能力は、数を増やして戦力を増強することができるというだけでなく、ゾンビ化した人間を色々な形で活用していくので、相手からすれば対処が難しい。ただ倒し続けても切りがない上に、操っている本体にまでたどり着くのもひと苦労だ。1対1の正々堂々とした戦いとはまた違う、頭を使った戦い方が求められるため、それを読む読者も普段とは違った楽しみ方ができる能力だと言えるだろう。