バトル漫画には、1対1の戦いだけでなく、多人数による総力戦のような形で展開される戦いもある。その中では、当然ながら重要になってくるのが数の力だ。個々の能力に大きな差がなければ、戦える人間の数が多い陣営の方が有利になるのは間違いない。しかし、たとえ数で劣るとしても、それを能力で補うキャラもいる。
それが、死体を操ることのできる「ネクロマンシー」と呼ばれる能力だ。これによってただの死体が、生きた兵力として敵陣営を苦しめることになる。さらに、この能力は使用者によって効果は様々で、ただ死体を操るだけではなく新たな力を加えたりすることができるキャラもいる。圧倒的不利かと思われたような戦況をもひっくり返すことができる、バトルの展開に大きな影響を与える能力と言えるだろう。
そこで、今回はバトル漫画に登場する“死者を操るキャラ”を紹介していきたい。
■尽きないチャクラの死した忍軍団を操る『NARUTO』薬師カブト
岸本斉史氏による『NARUTO -ナルト-』(集英社)に登場する薬師カブトは、作中で最も大きな戦いである「第四次忍界大戦」で存在感を示したキャラクターだ。というのは、カブトは死んだ忍を使って大軍団を作り上げることができたからだ。
カブトが用いるのは、死んだ人間を生き返らせ傀儡にすることで、自らの兵力にすることができる禁術「穢土転生」。操られる死体は、痛みを感じることもなければチャクラが尽きることもないので、戦う相手にとってはかなり厄介と言えるだろう。
忍術を使う上で必要不可欠であるチャクラは、通常の場合、尽きてしまうと忍術を出すことができない。それが無尽蔵ということになると、最強忍術を何度も連発することができ、リスクも伴わないということになる。
そして、カブトが「穢土転生」で操っていた忍は、亡き暁のメンバーであるイタチ、長門、デイダラ、サソリ、角都を始め、かつての五影や忍刀七人衆といった名だたる忍ばかり。これに対抗するためには、里の垣根を超えて忍連合軍を結成するしかなかった。
そんな恐ろしい「穢土転生」だが、元々は違う使い方を想定していた。二代目火影である千手扉間が開発したこの術は、傀儡にした死体を相手陣営に人間爆弾として投入するというものだったのだ。それを後に大蛇丸が改良し、そこからさらにカブトが手を加えることによって、死者の大軍団を作れるようになったのだ。
■自らの血を浴びた者をゾンビ化させる『BLEACH』ジゼル・ジュエル
2022年からが放送が始まったアニメ『BLEACH 千年血戦篇』も話題となった、久保帯人氏による『BLEACH』(集英社)にも、ゾンビ軍団を作るキャラがいる。それが星十字騎士団のジゼル・ジュエルだ。ジゼルの能力は、一度殺した者をゾンビ化させるだけではなく、自らの血を浴びた者を生きたままゾンビ化させることができる。
見た目があまりにも弱そうなジゼルには、誰もが勝てると油断をしてしまう。そして、あえて自らを攻撃させることで、相手に返り血を浴びさせてゾンビ化させていた。隊長である日番谷冬獅郎や六車拳西、鳳橋楼十郎、副隊長の松本乱菊までもゾンビ化させられたので、「ジゼルって実は強いのでは?」と驚かされてしまったものだ。
ジゼルは仲間が殺した隊士も次々とゾンビ化させていたので、護廷十三隊がそのままゾンビの軍勢に作り変えられてしまったようなものだ。しかもゾンビの肉体を利用して、仲間や自分の肉体を瞬時に修復してしまうので、攻守ともに優秀な能力と言えるだろう。
そのままでは戦いの趨勢は目に見えているようにも思えたが、涅マユリによってこのゾンビ化は解除されることになる。流石は尸魂界のマッドサイエンティストだ。