■ブルマそっくりのキャラも登場する『トンプー大冒険』

 続いては、『週刊少年ジャンプ』1983年52号に掲載された『トンプー大冒険』だ。主人公のトンプーは、惑星開発の任務を負い、宇宙航行中にとある星に不時着してしまう。そこで彼は先に不時着していた地球人の女性プラモと出会い、その星で宇宙人との衝突を引き起こすという物語が展開される。

 その女性キャラのプラモだが、見た目がロングヘア時代のブルマにそっくり。自信過剰な性格や喋り方も、ブルマを思わせる人物だ。

 そして、トンプーは「いろいろカプセル」というアイテムを取り出す。マシンや家まで生成できる万能アイテムだ。この「いろいろカプセル」は、まさに『ドラゴンボール』の「ホイポイカプセル」の原型とも言える存在だ。ただ「いろいろカプセル」には面倒なところがあり、沸騰したお湯に10秒漬けなければならないという欠点がある。

 その後、宇宙人の宇宙船を奪うことになったトンプー&プラモ。宇宙人と交戦するも、トンプーが宇宙人の光線銃で貫かれてしまう。亡くなった……と思いきや、立ち上がり、実はトンプーはサイボーグだったことが明かされる。怒ったトンプーは、フルパワーのパンチを宇宙人にお見舞いし倒す。サイボーグという設定や怒ったところは、人造人間8号ことハッチャンを感じさせる。 

『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』も『トンプー大冒険』も、物語の展開、設定などが『ドラゴンボール』を感じさせるものがあり、感慨深いものがあった。どちらもボーイミーツガールから始まる物語で、ブルマとの出会いから始まる『ドラゴンボール』との関連性も見て取れる。

『ドラゴンボール』の原点とも言える『騎竜少年』『トンプー大冒険』は、鳥山氏の才能と創造力が詰まった作品。その魅力を受け継いだ『ドラゴンボール』は今もなお色褪せず、多くの人々に愛され続けている。

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