ホイポイカプセルの原点も?『Dr.スランプ』連載中に書かれたドラゴンボールテイスト満載の鳥山明の短編たちの画像
2024年秋より展開される『ドラゴンボールDAIMA』 (C)バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション

 2023年10月13日(日本時間)に2024年秋より新作アニメシリーズ『ドラゴンボールDAIMA(ダイマ)』が展開されることが発表され、新たな盛り上がりを見せている鳥山明氏の漫画『ドラゴンボール』。

 いまや世界的な作品となった『ドラゴンボール』だが、同作の原点となった短編漫画があるのをご存知だろうか。鳥山氏は、前作『Dr.スランプ』の連載中にも読切漫画を数作描いており、その中に『ドラゴンボール』の原点と思われる作品があり、いずれの作品もジャンプコミックス『鳥山明◯作劇場』に収録されている。

 今回は、『ドラゴンボール』の原点とも言えるべき、『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』と『トンプー大冒険』を『ドラゴンボール』との共通点や類似点などを挙げながら紹介する。

■『ドラゴンボール』のルーツ!『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』

 まず紹介するのは、『Dr.スランプ』連載中に『フレッシュジャンプ』1983年8月号と10月号に掲載された短編漫画『騎竜少年(ドラゴンボーイ)』だ。

 主人公は、中国風の山々がそびえる仙の国で厳しい修業を重ねながら、老師さまの元に身を置いている唐童(たんとん)という少年。資料集『ドラゴンボール超史集』(集英社)によると、当時、映画『酔拳』を100回以上見たというほどカンフー映画にハマっていた鳥山氏が、担当編集者・鳥嶋和彦氏による勧めで描くことになったというこちらの短編。その修業シーンは、まるで『ドラゴンボール』第1話での悟空が薪を割るシーンを彷彿とさせるものだった。

 筋斗雲らしきものに乗ったご老師様が登場するが、どことなく亀仙人を思わせるユーモアあるキャラクターだ。その後ご老師様からの命令で、唐童は華の国から戦乱で逃げてきた姫を再び元の国に送り届けることとなった。姫に会うやいなや、胸をツンツンする唐童だが、なんと悟空と同じく女を知らない。旅のアイテムとして、満身の気を当てると竜が出てくる「竜宝(ろんぱお)」を与えられる。これが7つ集めると神龍が願いを叶えてくれる「ドラゴンボール」の原点のように感じた。

 旅の途中で古い井戸に立ち寄ったところ、怪物に襲われ、ピンチに。唐童は着物を脱ぐと、竜の翼のようなものが生えており、急降下の一撃で倒す。羽が生えているという設定は、悟空の尻尾との関連性をうかがわせる。

 まだまだ旅は続き、食事休憩を取っていたところ、見た目はプーアル、性格はウーロンのような奴が若い旅人に化け、食事を分けてほしいと言う。唐童は妖気を感じ、若者が正体を表す。気を感じ取るところなどは、『ドラゴンボール』っぽさを感じさせる。

 物語は華の国に着くことなく途中で終わってしまうものの、キャラクター、設定、描写など『ドラゴンボール』を彷彿とさせるものが多々見られる作品だ。

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