過去2度にわたる人気実写化作品! 漫画『悪女(わる)』から見える“昔のOL生活”の画像
BE・LOVEコミックス『悪女(わる)』第1巻(講談社)

 時代を追うごとに、女性の生き方も変わってきた。なかでも顕著に変わったのが、“女性の働き方”だろう。とくに昭和時代のOLの働き方は、今と比べるといろいろとあまりに違いがあり、驚くことも多い。

 そんな働き方がよくわかる漫画に、深見じゅんさんの『悪女(わる)』がある。本作は女性向けマンガ誌「BE・LOVE」(講談社)で1988年より連載された人気作品だ。1992年には石田ひかりさん主演で実写化され、2022年には今田美桜さん主演で「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」で、再び実写化されている。今回はそんな人気作品の悪女から、印象的な昭和OLの働き方をピックアップしよう。

■いまより楽だった? 通勤では定期を見せて通過、そしてお茶汲み

『悪女』は主人公の田中麻理鈴(まりりん)が、入社した会社で待ち構えるクセ者社員たちとぶつかりながら、恋に仕事に奮闘する姿を描いた作品だ。

 第1話に、さっそく昭和ならではの懐かしいシーンがある。通勤ラッシュのなか、駅員さんから「お客さん!定期!!」と呼び止められる麻理鈴。麻理鈴は駅員に誤ってテレフォンカードを見せており、慌てて定期券を見せ直すのであった。

 昭和の時代はまだ自動改札が普及しておらず、駅を通過する際は駅員に定期券を見せるのが一般的だった。その後は徐々に自動改札が導入されたが、定期を見せるだけで改札をサッと通れたのは、今より楽なシステムとも言えるだろう。

 その後、会社に初出勤した麻理鈴がまず最初におこなった業務は“お茶汲み”である。「おはようございます!」と元気に挨拶をして、オジサマたちにお茶を配り歩く麻理鈴。今ではお茶は各自用意するのが当然だが、昔は若い女性が目上の男性にお茶をいれるのは当たり前のような風潮があり、珍しくない光景だった。

■女性もタバコは当たり前!?金曜日は「花金」

『悪女』が連載されたのは1988年、日本がバブル絶頂のころだ。

 当時はまだ喫煙率が高く、街中いたるところでタバコを吸える場所があり、それはオフィスでも同じだった。コミック第1巻では、麻理鈴が社員食堂でお昼を食べ終わったあと、堂々とその場でタバコを吸っている場面が描かれている。食事のトレーを下げ、シュパっとライターに火をつける麻理鈴。横でコーヒーを飲む女性を気にすることなく煙を吐き出している。当時は男性のみならず、若い女性でもタバコを吸う人が多かったように思う。

 そして業務を終え帰宅しようとする麻理鈴は上司に仕事ぶりを褒められ、“ごほうびに夜ちょっと出かけましょう”と、誘われる。このときのセリフには「休日前のハナキンだし」とある。

 この「花(華)金」とは1980年代半ばに登場した造語であり、翌日の土曜日が休みなので豪遊できる日として“花(華)のような金曜日”といった意味で使われていた。麻理鈴たちが出向いた、提灯だらけのきらびやかなネオン街も懐かしい。

 堂々と社員食堂でタバコを吸い、金曜日の夜にはネオン街で遊ぶ昭和のOLたち。体のことを考えると少し心配な面もあるが、バブル期でお給料も良かった時代、遊びにも全力を尽くす姿が垣間見える。

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