■目を潰してまで助けてくれたのに…シュウのことを忘れているケンシロウ
ケンシロウが忘れてしまったことで、あわや命の恩人を殺しかねなかったシーンがある。それが、シュウとの一戦だ。
ケンシロウは少年時代に南斗十人組手に挑んだものの、最後の相手であったシュウに完敗。掟によってその場で殺されるはずだったが、シュウがそれを止める。その行動をとがめるサウザーに対し、シュウは自ら両眼をつぶし「これで文句はなかろう」と言い、ケンシロウの命を救った。
時を経て、そんな命の恩人であるシュウに再会したケンシロウだが、そのことを完全に忘れていた。そして成り行きでシュウと対戦することになり、その強さに驚きつつも後半はケンシロウが圧倒。「もはやおれとの間合いもつかめまい!!」と、容赦なく攻撃していく。
リンやバットに止められる形で戦いを終えたのち、ようやくケンシロウは「シュウ やはりあなたはあの時の」と、命の恩人の存在を思い出すのであった。
シュウはその後もケンシロウを助けるために1人息子を犠牲にしたり、捉えられたケンシロウの代わりに聖帝軍と戦ったりと、まさに己を犠牲にする仁星の男。シュウの最後を見届けたケンシロウが号泣するのも無理はない。
目を潰してまでも自分のことを救い、最後は自分の代わりとなって散っていった男のことを、ケンシロウは二度と忘れることはないだろう。
『北斗の拳』は連載がはじまって以来爆発的な人気となり、ストーリーを引っ張るために後付けされた展開も多かったそうだ。原作者の武論尊氏も“忙しすぎて後付けだらけのストーリーになった”と明かしているため、あえて忘れていたという展開は必須だったようにも思う。
今年40周年を迎えた『北斗の拳』、今後は新シリーズのアニメ化による新たな展開にも注目だ。