幼いころは多くの人が楽しんだであろう、NHKの子供番組。教育テレビの『おかあさんといっしょ』をはじめ、思い出に残っている番組は多いはずだ。
実はNHKでは教育テレビ以外の“総合テレビ“でも、『子供の時間』という子供向け番組を放送していた時期がある。代表的なものに『ひょっこりひょうたん島』があるが、あのユーモラスな曲とともに懐かしい人形たちを思い浮かべる人もいるだろう。
NHK総合では“ひょうたん島”が終わったあとも、10分間の子供向けアニメを放送していた。今回は "あ〜それ見てたなあ!”と思わず懐かしい気分になれる、NHK総合テレビ『子供の時間』で放送していた80年代のアニメを紹介したい。
■急に小さくなるおばさんの大冒険!『スプーンおばさん』
『スプーンおばさん』は1983年4月から、平日の17時50分から10分間放送されていたアニメだ。
主人公のスプーンおばさんは、たびたびスプーンの大きさほどに体が縮んでしまう。自分が小さくなっているときは動物たちと会話ができ、動物たちの困りごとを解消したりと、小さくなることで起きるハプニングを面白く展開していくストーリーだ。
筆者も幼いころによく見たアニメであり、家でスプーンを使うたびに“この大きさに体が縮んだら、大好きなケーキをたらふく食べられる”と想像し、また当時飼っていた犬にも、“スプーンおばさんならシロが何を考えているか分かるんだろうなあ……”なんて、うらやましく思っていた。まさに子供の想像力を掻き立ててくれたアニメである。
スプーンおばさんは突然体が縮んでしまうのにもかかわらず、“あら大変、でも洗濯をしなくちゃ!”などと言って、どんどん前向きに行動していく姿が印象的だ。ちょっと強面のご主人をあしらう姿も素敵で、大人になった今見返すと、こういうおばさんでありたいとも思う。
ちなみに『スプーンおばさん』の原作は世界中で人気のノルウェー児童文学作家、アルフ・プリョイセンさんの児童書だ。アニメは終了してしまったが、原作の本は今でも人気なのでぜひ手に取ってみてほしい。
■車好きのちびっこたちから大人気!『へーい!ブンブー』
『へーい!ブンブー』は1985年4月から、月曜日~木曜日の16時20分から10分間放送されていたアニメだ。
主人公のブンブーは、自動車工場のスクラップ置き場にあった卵から生まれた車の赤ちゃんだ。少年・ケンによってスクラップ工場から助けられ、ブンブーのお母さんや仲間たちを探すために、二人で冒険の旅に出るというストーリーだ。
ブンブーは車であるが、4つのタイヤをまるで手足のように自由に動かすことができ、前方には目や鼻、口があっておしゃべりも上手なので、人に近いキャラクターだ。また、ブンブーのエネルギーはガソリンではなく、ケンと同じような食事を口からとっているのもユニークだった。
ブンブーは柔らかく形を変えられる特性を生かし、狭い路地ではトラックの上を自由に走ったり、ときにはサーカスに挑戦したりと、まさに自由自在。“こんな車があればいいのに!”と、当時の子供たちの夢を膨らませてくれたアニメだった。
昔の遊園地やデパートの屋上でよく見た、ハンドル1つで操作できるブンブーデザインの乗り物もとても可愛らしかったことを覚えている。