■『BLEACH』崩玉と融合した藍染惣右介
最後は、久保帯人氏『BLEACH』から、藍染惣右介を紹介する。藍染は元護廷十三隊五番隊隊長で、言わずと知れた尸魂界篇・破面篇のラスボスである。『BLEACH』という物語の大半は、彼の描いた計画上での出来事だったとも言える。
藍染はコミックス47巻にて、護廷十三隊や仮面の軍勢(ヴァイザード)らを次々と戦闘不能にし、空座町へ侵攻していく。浦原喜助、四楓院夜一、そして黒崎一護の父・一心が懸命に抗うも崩玉と融合し、さらに絶大な力を手にした。
そんな状況下、一護も口では「…そんなことさせるかよ…!」と、強気を保っていたが、心の中では藍染の霊圧に圧倒されて絶望していた。それを市丸ギンに悟られ「この戦い諦めてるんと違うの?」と問われても、反論できないほど。最終的には「…やれやれや 君 逃げ」とまで言われてしまっていた。
しかし実は、一護ひとりだけがそこにいた者と比べ、特別藍染に恐怖し絶望していたのには理由があった。崩玉と融合した藍染の力はあまりにも強大になり過ぎていたため、一護以外のものは藍染の霊圧すら感じることができずにいたのである。
一方、一護は少なくとも“絶望”できるくらいは藍染の霊圧を理解できていた。ゆえに一心や市丸は、その一護の“絶望”にこそ望みがあると思っていたようだ。
その後、一護は一心とともに断界へ行き、“最後の月牙天衝”を会得。最終的には、藍染に勝利することとなる。
今回は、主人公チームに絶望を与えた悪役キャラを厳選して紹介してきた。それぞれ圧倒的な強さを持ち、主人公チームに絶望を与えていた。しかしその絶望は、我々読者にとって「どんなに強いんだ!?」「どうやって倒すんだ!?」と、今後の展開を楽しみにさせてくれるものでもあった。
やはりバトル漫画・バトルアニメには、絶望的に強く魅力のある悪役が不可欠のようだ。漫画の主人公たちには申し訳ないが、今後生まれる作品ではどんな絶望のシーンが描かれるのか楽しみである。