面白いバトル漫画には、必ずと言っていいほど魅力的な悪役が登場する。どれだけ邪悪で絶望的に強い悪役が描けるかで、その物語の面白さが決まると言っても過言ではないかもしれない。そこで今回は、最終的になんとか勝ったけど、主人公チームに絶望を与えた悪役を紹介していく。
■『HUNTER×HUNTER』キメラ=アント王直属護衛軍の一人・シャウアプフ
まずは、冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER』に登場するシャウアプフ、通称“プフ”を紹介したい。
プフは『キメラ=アント編』に登場した王直属護衛軍の一人で、作中トップクラスの難敵だ。その力は強大で知略にも長け、さらに王への忠誠心は凄まじいものだった。
コミックス24巻では、討伐隊として宮殿のなかまで潜入したノヴが、彼のオーラを感じただけで心が折れてしまっている。その後なんとか宮殿を離れることができたものの、ノヴは思い出すたびにガタガタと震え「オレはもうそこへ行けない…!!」と、キメラアント討伐作戦からリタイア。
直後、恐怖のあまり一気に白髪になり、コミックス27巻で再登場したときは、過剰なストレスによりその白髪もほとんど抜け落ち、頬もこけ、インテリ系イケメンハンターの面影は完全に失われてしまっていた。
その後も、プフは討伐隊を翻弄し続ける。最終的には王・メルエムとともに、“貧者の薔薇(ミニチュアローズ)”の毒によって死亡した。もしも討伐隊が万全の状態のメルエム&王直属護衛軍と対峙することになっていたとしたら……結果は厳しいものとなっていたかもしれない。
■『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』 魔界の神・大魔王バーン
絶望を与えた悪役といえば、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)のラスボス・大魔王バーンも外せない。
コミックス22巻、大魔宮(バーンパレス)に乗り込んだダイたちは、ダイの父・バランにも打ち勝ち、いよいよ大魔王バーンと直接対決することに。
しかし、“魔界の神”と恐れられる大魔王バーンの力はそれまでの敵とは次元が違い、ダイを一撃で再起不能に。ポップは放ったメラゾーマも“メラ”で簡単にかき消されてしまう。このときのバーンの「…今のはメラゾーマではない… メラだ……」というセリフも有名だろう。
ヒュンケル、クロコダインもまったく歯が立たず、マァムの閃華裂光拳でやっと与えた傷もすぐに回復されてしまう。ついにはルーラで脱出を試みるも、それも失敗……と、出す手がなくなり、みな絶望してしまっていた。
そんななかひとり立ち上がったダイだが、自身の剣を折られてしまい、唯一の望みであった“勇者の心”も完全に折られてしまう……。
ちなみに、その直後ハドラーの乱入により、散り散りになりながらもダイたちはなんとか生き延びる。そこから激しい戦いを繰り返しながら成長し、最終的には大魔王バーンに勝利したのだった。