■乗客ファーストもここまでいくとやりすぎ?…第95条

 これまで見てきた“規則”だけでも、銀河鉄道がいかに乗客を大事にし、そして乱れのない運行を重視しているのかということが伝わってくる。いずれも重い罰則が記されていたが、一方でこれまでとは少し毛色の違う厳しい“規則”も登場している。

 第38条にも記されていた通り、銀河鉄道ではとにかく乗客のことを手厚く扱っているのだが、第95条では乗客について、さらに明確に言及されているのだ。それが“銀河鉄道各列車の乗務員は乗客に従う”というもの。

 お客様第一……とはいうものの、なんとこの銀河鉄道の乗務員たちは、乗客のいかなる要求も断ることができず、すべてを受け入れる必要があるのだ。

 ときには無茶を言ったり、横暴をはたらくような乗客も現れるかもしれない。そんなときですら、銀河鉄道の乗務員たちはいっさいを拒まず、乗客の意向を汲まなくてはならないのだ。ここまでくると、どこか“理不尽”にすら見えてくる規則である。

 ちなみに、この第95条が登場したのは、「大盗賊 アンタレス」のエピソード。作中ではなんと銀河鉄道が列車強盗に襲われ、鉄郎とメーテルも騒動に巻き込まれてしまう。

 そのさなか、メーテルは車掌に対しこの第95条を発動させ、彼を黙らせていた。

 車掌があっさりと引き下がったところを見るに、やはり乗務員にとってこの規則は絶対であり、凄まじい強制力を発揮していることが分かる。

 乗客側からすれば、伸び伸びと旅ができるのは大きなメリットではあるのだが……乗務員たちの心労を考えると、どうにも複雑になってしまう規則だ。

 

 大宇宙を旅する夢の列車・銀河鉄道だが、乗務員たちに定められた“規則”はどれも厳しいものばかりで、驚かされてしまう。銀河鉄道が今日も変わらず運行できているのは、彼らに課せられたこの厳しすぎる“規則”のおかげ……なのかもしれない。

  1. 1
  2. 2