■特に女性主人公成分が濃い『絶対可憐チルドレン』

 2004年に短期連載され、2005年から2021年にかけて本連載された椎名高志氏の漫画『絶対可憐チルドレン』もまた、アニメ化された『サンデー』の女性主人公漫画を語る上で欠かせない作品のひとつだ。

 超能力者が増えてきた世界を舞台に、政府特務機関「バベル」に所属する明石薫、野上葵、三宮紫穂の三人の少女たち「ザ・チルドレン」の活躍を描く同作。2013年より同作を原作としたテレビアニメが放送が開始されたが、この年代になると、『魔法少女リリカルなのは』シリーズや『プリキュア』シリーズ、『まどかマギカ』シリーズが動き始め、本格的に女性主人公アニメが台頭してくることとなった。

 同じく2013年に放送開始されたアニメだけでも『ビビッドレッド・オペレーション』や『幻影ヲ駆ケル太陽』『ファンタジスタドール』などがあり、戦う女性主人公が定番になってきている。

 そんな中で、『週刊少年サンデー』が打ち出したのがこの『絶対可憐チルドレン』。

『サンデー』のアニメでは、ヒロインが男性主人公並に活躍する作品は多かった。その代表格となるのが高橋留美子氏による作品だが、とはいえ犬夜叉とかごめのW主人公である『犬夜叉』も戦闘では犬夜叉がメイン。『らんま1/2』はそもそも主人公が男女どちらの性質も持っているという物語だが、基本的に男性主人公成分が濃い作品でもあった。

 そんな中で、『絶対可憐チルドレン』は『サンデー』でも女性主人公成分のかなり濃い異例の作品であったように思う。そしてそれがアニメ化され、子ども視聴者にも支持され長編アニメとして大ヒットとなる。

『週刊少年サンデー』で脈々と受け継がれてきた女性主人公漫画の歴史と、女性主人公ものが流行り始めた時期が重なった結果生まれたヒット作と考えられるだろう。

 現在でも、まだまだ珍しい存在と言える、少年漫画原作の女性主人公アニメ。『葬送のフリーレン』はその最新作に当たる。今後に期待したいところである。

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