2003年から2009年まで『ビッグコミックオリジナル』(小学館)にて連載されていた浦沢直樹氏のSF漫画『PLUTO』。
これは手塚治虫氏の代表作『鉄腕アトム』の中にある1964年に執筆したエピソード「地上最大のロボット」を原作としてリメイクした漫画であり、連載開始から20年経過した2023年、10月26日よりNetflixにてアニメシリーズが配信されている。
『PLUTO』と原作となる『鉄腕アトム』では異なる点がある。それは原作で脇役だったロボット捜査官・ゲジヒトの視点を描いた点だ。あらすじは、人と高性能ロボットが共存する近未来で優秀なロボットが次々に暗殺される怪事件が発生し、ゲジヒトとアトムが事件解決のために奔走するというもの。
設定の豊かな7体の世界最高水準のロボットたちの声優を務めるのは山寺宏一や宮野真守など、納得の実力派声優陣。そして浦沢氏の漫画のタッチが再現された美しいアニメーションには明らかに力が入っていることがわかる。それもそのはず、エグゼクティブプロデューサーには『鉄腕アトム』の制作スタッフでもあったMAPPAの創設者、丸山正雄氏も名を連ねている。
同作のアニメ化にあたり、手塚治虫氏の息子である手塚眞氏も「いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の『本物』だ。そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ」とコメントを寄せている。
ファンの期待を集めついに公開された同作だが、早くも絶賛の声が寄せられている。10月30日にはゲーム『メタルギア』シリーズで知られる小島秀夫監督がSNSに「『プルートウ』最終話まで観終わった! 素晴らしい! これぞ、手塚先生の魂! その遺志を継いだ浦沢直樹さんの祈り! 丸山さんの制作愛! 声優さん達の熱演! 全てが結実している! ただ闘うだけのロボット・アニメやヒーロー・アニメとは一線を画す。これぞ日本のMANGAであり、アニメーションだ」と感想を投稿。全話を見終わった感動をフォロワーに伝えた。
またアニメにてお茶の水博士の声を務める声優の古川登志夫は「日本アニメ史に燦然と輝く金字塔を打ち立てたことは間違いない。ロボット論よりも奥深い人間論に感動しない人はいないでしょう。泣かずに観られる人はいないでしょう」と太鼓判を押している。
SNSではアニメを見た視聴者からの感想も多数上がっており、「得るものが多すぎるアニメ」「1話だけでも一本の長編映画を観たような充実感だった」「こういう作品を待ってたんだ…」と完成度の高さに感動している様子。「Netflixでしか見れないのぉお〜?! 入っちゃおうかなー?!」と、アニメを見るためにNetflixへの入会すら検討する声も多かった。
満を持して生まれたアニメ『PLUTO』は、日本のアニメの中でも最高峰の作品となっているようだ。