1979年の『機動戦士ガンダム』の放送以降、現在までさまざまな作品が作られてきたガンダムシリーズ。2023年夏には最新シリーズである『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2が最終回を迎え、また2024年1月には劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開が控えている。
宇宙を舞台にした戦争を描く同シリーズでは、リアルなセリフや演出が他作品にはない魅力のひとつ。モビルスーツでの戦いはロボットアニメとしてのかっこよさがある一方、戦いで使用される兵器は恐ろしいものとして描かれ、時には使用したパイロット本人でさえもその破壊力の凄まじさに動揺を見せるようなシーンも珍しくない。
■アムロが自身で恐怖を受けた…高威力の銃火器
たとえば、『機動戦士ガンダム』でビーム・ライフルが初登場した場面では、ガンダムのパイロットであるアムロ・レイがその威力に驚く演出がある。
そもそもビーム・ライフルは、戦艦に装備されているメガ粒子砲を携行できるように小型化したもの。地球連邦軍が実用化に成功し、ガンダムやガンキャノンに実装された。
第2話「ガンダム破壊命令」で、アムロたちホワイトベース隊はジオン軍エースパイロットであるシャア・アズナブルとその部下から襲撃を受ける。ガンダムで出撃したアムロはなんとか応戦し、そこで初めてビーム・ライフルを放ちスレンダーの乗るザクを撃破したのだった。
説明書を読んだだけでモビルスーツを操縦して見せるアムロだが、その威力に撃った自身でも「一撃で、ザクを…」と衝撃を受ける。ガンダムという機体の圧倒的な強さを視聴者に見せつけると同時に、一般市民だったアムロが自ら手にした兵器に慄くというシーンでもあった。このとき、モビルスーツを一撃で破壊できる武器は戦艦のメガ粒子砲だけであり、威力が同等の武器を持ち運ぶガンダムはジオン軍にとって脅威だったに違いない。
■ビーム・ライフルの発展型、シールドもあっさり貫通
ビーム・ライフルは宇宙世紀79年に登場し、後年になっても使用されている。ビームを活用した武器は多く登場しており、ひとつの完成形ともいえるのが『機動戦士ガンダムF91』に登場した、ガンダムF91の装備するヴェスバーだろう。
ヴェスバーの正式名称は「Variable Speed Beam Rifle(可変速ビーム・ライフル)」で、頭文字をとって「V.S.B.R.」とも表記される。ガンダムF91の両脇から背中にかけて搭載され、貫通力の高い高速ビームや威力重視の低速ビームなどを撃ち分けることが可能だ。その威力は、戦艦の主砲クラスとも言われる。
作中ではガンダムF91のパイロットであるシーブック・アノーが使用しており、その威力に「こいつは……強力すぎる」と驚く場面がある。コロニー「フロンティアIV」がクロスボーン・バンガードに襲撃された際、シーブックは敵機デナン・ゲーの素早さとビームシールドの防御力の高さを目の当たりにする。通常のビームライフルでは対応できないと判断したシーブックは、とっさにヴェスバーを使用。ビームシールドをあっさりと貫通、撃墜した。
そもそもビームシールドは斥力を利用してビーム攻撃をはじくシステムだが、ヴェスバーの威力が高すぎるため、はじききれずに貫通してしまう。なお、本作時点より20年以上が経過した時代を描く『機動戦士Vガンダム』でもV2ガンダムが装備しており、現役の武器として活躍している。