■ピッコロは悟飯を守って…
悟空以外の涙も確認していこう。原作漫画でピッコロは、1回だけ涙を流している。
コミックス19巻「サイヤ人編」で、戦闘民族サイヤ人であるナッパの前になす術がなく倒れていくZ戦士たち。ピッコロも身を挺して悟飯を守って、力尽きる。このときピッコロは、悟飯と修行した数カ月は悪くなかったと涙ながらに語り、最期に「死ぬ…な…よ……悟……飯……」の言葉を残して逝く。
その後、ナメック星のドラゴンボールで復活を果たし、地球に戻ってからは破天荒な孫一家に振り回されるような存在になっていく。かつては大魔王としてみなから恐れられる存在だったが、この涙を起点にピッコロは作中屈指の人格者へと変貌を遂げた。
■ベジータは自分のプライドから…
最後はベジータの涙のシーンを紹介する。「フリーザ編」コミックス26巻で、自分が超サイヤ人になれたと確信していたベジータ。しかし、それでも完全体のフリーザには遠く及ばないことを知り、恐ろしさと絶望でガチガチと震えながら涙を流す。
惑星ベジータのサイヤ人王子として人一倍プライドの高いベジータが、涙を流して怯えるこのシーンはなんとも切ないものであった。同時に、その涙は完全体のフリーザの強さがどれだけ桁外れであるかも物語っている。
その後、ベジータは再度涙を流し、到着した悟空に“フリーザをサイヤ人の手で倒してほしい……”と願いを託し、死んでいった。
そして、ベジータはアニメでもう一つ涙するシーンがある。『ドラゴンボール超』第128話「気高い誇り最後まで! ベジータ散る!!」で、「宇宙サバイバル編」最強の戦士・ジレンに敗れてしまう。このときベジータは「オレはとんだバカ野郎だ すまない…ブルマ…キャべ」と、約束を果たせない自分の不甲斐なさに涙を流していた。
今回は『ドラゴンボール』最強の男たちが見せた涙ということで主人公の悟空、そしてピッコロとベジータの涙のシーンを紹介してきた。
鳥山明氏の『ドラゴンボール』は熱い展開と壮絶なバトルが魅力、もちろんそこに登場する最強戦士たちもあまり弱いところは見せない。だからこそ、時折見せる涙は意味深いものであった。2024年の新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』では、はたして最強の男たちの涙はあるのだろうか。今から楽しみだ。