10月25日は野沢雅子さん87歳の誕生日!悟空のイメージから一転…これまで演じてきた意外なキャラの画像
野沢雅子

 10月25日に、声優の野沢雅子さんが87回目の誕生日を迎えた。声優の中でも最も有名と言って差し支えない彼女は、声優業の草創期から活躍しており、なんと2023年12月にはグッドスマイルカンパニーから野沢さんの可動フィギュア「ねんどろいど」が発売される。

 声優という仕事の黎明期、洋画の吹き替えは録音ではなく生アフレコでテレビ放送していた。よって子役が使えず、子ども役は声帯のつくりの近い女性が務めようということになり、そこで選ばれたのが野沢さんだった。以降、野沢さんは少年キャラとしてのニーズが増え、声優界全体としても、少年キャラの声優は女性が担当する風潮が定着した。

 野沢さんは「今までやった役でどの役が好きですか?」という質問に対して本人が答えていたように、『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎(1作目、2作目)、『銀河鉄道999』の星野鉄郎、そして『ドラゴンボール』の孫悟空の役のイメージが強い。これらは全て原作者によって選ばれた役であり、どれも少年の役だ。

■意外な役も務めた野沢さん

 野沢さんといえば少年の役のイメージが強いが、長い声優人生の中で少年だけではない意外な役柄もこなしている。

 たとえば、『ドラえもん』の声といえば、大山のぶ代さんと水田わさびさんの声を思い浮かべる人が多いと思われるが、これまでにドラえもんの声を務めていた声優は4人で、野沢さんは2代目ドラえもんの声を演じている。

 野沢さんがドラえもん役を務めたのは、1973年に日本テレビ系列で放送された『ドラえもん』の第14回から第26回で、コミカルでかわいらしい、動物を擬人化したかのような声だった。ちなみに第1回から第13回の声を務めたのは男性声優の富田耕生さん。『ドラえもん』の声は当初、おじさんだったのだ。

 また『あらいぐまラスカル』に登場するアライグマのラスカルの声を野沢さんが務めていることも意外だろう。当時野沢さんはどうしてもラスカルを演じたいとオーディションに参加し、アライグマのことをよく理解するために10日間ほど動物園に通い詰めたが、ついにその声を聞くことができなかったというエピソードもある。

 アニメではセリフらしいものはなく、EDクレジットにも役名はない。その他の出演者として「野沢雅子」と書かれているのみだが、ラスカルが今も愛されるキャラクターであるのは、間違いなく野沢さんの功績だといっていいだろう。

 女性役としては『ONE PIECE』のDr.くれはなど、中年女性や老婆役を演じることの多い野沢さんは、アニメより洋画の吹き替えで大人の女性役を演じることが多い。

 以前声優の羽佐間道夫さんとの対談インタビューでは、「マコ(野沢さん)の声ジーッと聞いてると、ものすごく女っぽいんだよね。それがすごいセクシーな声で」と評価されていた。「声優口演」という羽佐間さんがプロデュースを務める、無声映画に生アテレコするというイベントでは、野沢さんを女性役やヒロインにあてがうことも多いという。

 野沢さんは2012年の『週刊文春』の対談で役作りに関して「少年の気持ちになりさえすれば、どんな声のトーンだって少年になれる。逆に大人の女性役なら、たとえ悟空の声を使っていても大人の女性に聞こえると思うんです。大人の女性としての芝居をすれば」と語っていた。

 フジテレビ系のトーク番組『ボクらの時代』に出演した際、野沢さんは「最低でも100歳。128(歳まで)はできると思っている」と生涯現役声優でいることを宣言。10月13日に、『ドラゴンボール』の新しいアニメ『ドラゴンボールDAIMA』が2024年秋から展開されることが発表されたが、新しい悟空が動く姿を野沢さんの声で見たいというファンは多いだろう。