■客にメチルアルコールを飲ませてしまうバーのマスター
最後は、オアシスにあるバーのマスターだ。初登場はGOLAN編。タダ飯を食らおうとしている巨漢の男に殴り飛ばされていたが、バットの交渉により食料1日半と引き換えにケンシロウに助けてもらえることになる。
それにしてもこのマスターがひどい。ケンシロウにも酒をすすめてこようとするのだが、カウンターの奥では急性アルコール中毒のような男性客の姿が……。なんとメチルアルコールを飲ませていたらしい。う〜む、世紀末とはいえ、今なら即営業停止で逮捕ものだ。
そして、ジャッカル編でバットと同郷の少年・タキがバーに訪れた際、マスターはこともあろうに「な…なんだ 汚いガキだな はいってきちゃいかん!!」と声を張り上げている。
え? ケンシロウがカウンターに座っているのになんという暴言。ケンシロウはタキに目がいっているので気付いていないようだったが、普段なら顎を掴まれて説教されているところだぞ。
その後、バットの故郷の村にて、身寄りのない子どもたちの面倒を見ていた老婆・トヨがジャッカル一味に殺されたので、ケンシロウはマスターに子どもたちを預けてジャッカルを倒しに行くことに。おそるおそる断るマスターだったが、“1カ月後に死ぬ”という秘孔をケンシロウに突かれ(たぶんウソ)、仕方なく承諾していた。
去り際のケンシロウが「くれぐれも 子どもたちを 飢えさせないでくれ!!」と指を立ててカッコよくポーズを決めているのが、今となってはちょっと意外に思える。
ジャッカルを倒してケンシロウが帰還したとき、マスターが飛ぶように駆け寄ってくるシーンがあるのだが、それまでの間よほど心細かったのだろうな……。
さて、『北斗の拳』に登場する一般市民はかわいそうなものでもある。屈強な男たちによって蹂躙されるシーンが多くあり、やはりこんな世を生き抜くためにたくましさは必要なのだろうと思ってしまう。