『北斗の拳』(原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏)には、さまざまな強者が登場する。彼らは主人公・ケンシロウの成長に欠かせないキャラクターでもあった。しかし、登場してきた場面が異なるので、どうも強さの序列がよく分からない。
ケンシロウはシンやアミバにも苦戦していたことがあるし、“強さの基準”にしづらい面がある。そう考えると、純粋に“強さ”という点での物差しはラオウが適任だろう。
そこで、ラオウの強さを“100”として、“85”ほどの実力を持っていそうな拳法家たちを独自の判断で見ていこうと思う。
■速さでラオウに傷を負わせそうな第三の羅将「ハン」
まずは筆者も大好きな、第三の羅将「ハン」だ。修羅の国で登場した彼は、髭がよく似合うダンディな男だった。初登場時はハンの顔を剃っている修羅に対し、スキがあればノドを掻き切ってもよいと豪語した。
もちろん、その修羅は怯えてそんなことはできない。ガタガタ震えながら「そうやってなん人の修羅を殺してきたのですか!?」と問う修羅に対し、ハンは「百人から先はおぼえていない!!」と言い放つ。
これは痺れる! カッコいいと思ったものだ。……って、あれ? 百人までは数えていたのだろうか? なかなか律儀な男だな。
さて、この羅将・ハンは、修羅の国の序盤に登場する強敵だ。ケンシロウと互角の勝負をし、さらに、ラオウの天将奔烈やケンシロウが赤子のときに海を渡ったことも知っていた。本編にはハンのそんなシーンが登場しないので、謎を持つ男でもある。
ハンは拳の速さが凄まじく、野心を持つ強者しか認めないという性格で、まさにボスキャラといえる。ただ、ラオウと戦ったらどうだろうか。持ち前の速さでラオウの肉体に傷を付けることはできるかもしれないが、間合いに入った途端に吹き飛ばされそうだ。
もちろん、ハンはケンシロウといい勝負をしただけに、“85”という数字が妥当なのかは分からない。もっと高くても十分ともいえるだろう。
でもなあ。ハンの居城にたどり着いたケンシロウは、それまでハンが楽しんでいたチェスボードに「王手(チェックメイト)だ!!」と、ビショップを置いて宣言していた。チェスでは完敗だったかもしれないな。
■ラオウに忠誠を誓うも…油断を誘えば一矢報いそうなリュウガ
ラオウには屈強な部下がいる。その代表的な存在が、泰山天狼拳の「リュウガ」だ。ユリアの実兄なので、平和な時代だったらケンシロウの義兄になっていた男でもある。
リュウガが使う泰山天狼拳はちょっとむごい。相手の肉片を削り取るかのような拳法で、食らった敵は寒さや冷たさを感じるらしい。そんなリュウガは、この乱世をなくすには恐怖統治しかないと踏み、ラオウに忠誠を誓うのだ。
しかし、ケンシロウの存在も気にかかるリュウガは、ラオウとケンシロウ、どちらの実力が上か見ようと自ら鬼と化し、村人を虐殺。そして、病が進行したトキを拉致して本気を出させようとする。怒りによってケンシロウはパワー全開となるのだが、村人を虐殺する理由ってあったのだろうか……。
トキまで殺されたと思ったケンシロウは怒り狂い、リュウガをボコボコにするのだが、ただ、ハンのときと違ってケンシロウが本気で怒っていたので、ちょっと強さが見えづらい。
そこでラオウの評価を見てみよう。リュウガはラオウの恐怖が薄れて荒んでいる末端の部下たちを、容赦なく粛清していく。そして、ラオウが座るはずの豪華な椅子に堂々と座り、愛馬の黒王号ごと入城してきたラオウに対し、まったくビビることもなくその帰りを待っていた。
リュウガの部下たちはラオウと黒王号の迫力にビビりまくっていたので、恐らくリュウガに対して「早く椅子から立てよ!」って思っただろう。
ラオウが側に置いて認めているくらいの男なので、リュウガの実力は相当高いといえる。ラオウがちょっと油断すれば、一矢報いることができそうな雰囲気があるぞ。