浦沢直樹に手塚治虫、美内すずえも…昭和の漫画家はあまりにブラック!? 有名漫画家たちの“激務エピソード”の画像
ビッグコミックススペシャル『PLUTO』第3巻 【豪華版】(小学館)

「漫画家」という職業は人気が高く、今でも小学生の「将来なりたい職業」にランクインすることが多い。スマホでも気軽に漫画が読めるようになった時代、多くの人を楽しませられる仕事として憧れを持つ人も多いだろう。

 しかし現実に漫画家として働く人からは「過酷でつらい」という意見もある。とくに今のようにデジタル技術が発展していなかった昭和時代は、今では考えられないくらいの激務エピソードが多いのだ。今回はそんな有名漫画家たちの凄すぎる激務エピソードを紹介しよう。

■激務過ぎて体を酷使…漫画家たちの負傷

 まずは『YAWARA!』や『20世紀少年』など、昭和、平成、令和の現代まで活躍している浦沢直樹さんの激務エピソードを紹介したい。

 浦沢さんが超多忙で体を壊したのが『20世紀少年』を描いているとき。右手を常に動かすため上半身の胸あたりに負荷が掛かり、その結果、左肩を脱臼してしまう。

 その後、手塚プロダクションから『鉄腕アトム』のリメイク作品『PLUTO』の執筆を依頼される。具合が悪くなるほどのプレッシャーを感じた浦沢さんは、全身蕁麻疹を発症し、満身創痍のなか『PLUTO』を完成させたという。この作品で浦沢さんは漫画家初の手塚治虫文化賞2度目を受賞したが、その裏でこんなエピソードがあったとは驚きである。

『1・2の三四郎』『 What’s Michael?』 など、おもに80年代に多くの人気作を生みだした小林まことさんの激務エピソードもすごい。

 1週間における睡眠は合計8時間ほどで、トイレで気を失って眠るといった生活を半年送っていたところ、鼻血が止まらなくなり倒れこんでしまう。運良く駆けつけた編集者によって一命を取り留めるも、小林さんの当時の日記には「もうだめだ」と書きなぐられていたのが恐ろしい……。

 また『巨人の星』(原作・梶原一騎さん)や『いなかっぺ大将』で知られる川崎のぼるさんも、トイレ以外は座りっぱなしで風呂に時間はなし。ときに眠気を覚ますために頭から水をかぶり、細く切った湿布をまぶたと鼻に貼って眠らないようにし、1年のうち11カ月は家のなかで過ごしていたという。

 そんな生活を送っていれば、当然体に負荷が掛かり、最後のペン入れを終えた瞬間に気を失うように倒れ込むこともあったという。

 いずれのエピソードも一歩間違えれば命にかかわるような壮絶な激務であり、現代の労働基準では考えられない話である。

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