森田剛に中村倫也も…よりリアルな恐怖! 漫画実写化で「殺人鬼」を演じた俳優たちの怖すぎ演技の画像
映画『ヒメアノ~ル』DVDより

 ホラーやサスペンスにおいて欠かせないのは、見ているものの恐怖心を煽る殺人鬼や犯人の存在だ。特に漫画やアニメの実写化作品は原作のイメージが付きやすいため、殺人鬼役の俳優たちはより一層演技力が試される。そこで今回は、「漫画の実写化作品」で殺人鬼役がハマっていた俳優たちを振り返ってみようと思う。

■映画初主演作となった『ヒメアノ〜ル』森田剛

 まずは2016年に古谷実さんによる漫画『ヒメアノ~ル』の実写化で、映画初主演を務めた森田剛さんから。

 森田さんが演じたのは、サイコキラーの森田正一役。精神崩壊の原因となる高校時代の壮絶ないじめ体験の過去を持っているが、原作ではあくまでも彼の中に根付く残忍性を呼び覚ますきっかけのように描かれていた。

 しかし、映画版では後天的に殺人鬼となったように描かれており、「かわいそう」という気持ちが湧くような描写も多い。特に最後の事故から回想のシーンは胸を締め付けられてしまう。

 作中で関わる人々を淡々と殺していく森田さんの姿は背筋が凍るほど恐ろしく、まさに怪演。殺人を犯すときの死んだ目、逆に濱田岳さん扮する同級生・岡田と話すときの幼さの残る表情など、シーンによってコロコロと表情を変えることで「森田正一」というキャラの恐ろしさが表現されている。

 森田さんは10月6日から公開となったジャズ映画『白鍵と黒鍵の間に』でも謎の男「あいつ」役で出演している。

■綺麗なお隣さんには秘密がある『羊とオオカミの恋と殺人』福原遥

 続いては、2019年に公開された『羊とオオカミの恋と殺人』から、福原遥さん。杉野遥亮さん扮する自殺願望のある青年・黒須が、部屋に開いた穴から見える美しい連続殺人鬼の私生活に夢中になるうちに恋に落ちていく……。

 そんな「殺人×恋愛」という非日常的な世界を描いた同作は、漫画アプリ「マンガボックス」で人気を博した裸村さんによる漫画『穴殺人』の実写映画。

 福原さんが演じた宮市莉央は、一見すると普通のかわいい女の子。しかし、裏の顔は殺人衝動を抑えきれないシリアルキラーである。莉央の殺人を目撃して口封じをされそうになった黒須は、「付き合いたい」ととんでもない告白をした。

 そこから2人の関係は深い淀みの中に落ちていく。莉央は殺人の際いつもレインコートを着ていて凶器はカッターだった。殺しに対して戸惑いがなく、部屋に連れ込んだ相手の喉を次々と切る。

 ただ、バイオレンスアクションのようなあっさりした殺し方をするうえに恋愛要素が大きく絡むので、作品自体にじめっとした空気はない。

 可憐な女の子のイメージが強い福原さんにとって、同作の殺人鬼役は体当たりと言える。「可愛いのに怖い」彼女だからこそ実現できた実写化と言えるだろう。

■滲み出る不気味さ『ジョジョ』山田孝之

 次に紹介するのは、カメレオン俳優として名高い山田孝之さん。「殺人鬼」役が印象的だったのは、荒木飛呂彦さん原作・三池崇史さん監督の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』で演じたアンジェロこと片桐安十郎だ。

 実写化が難しいと言われる「ジョジョ」初の実写映画という事もあり、公開前から話題となっていた同作。山田さんが演じたアンジェロは、IQ160という高頭脳で「日本犯罪史上最低の殺人鬼」と呼ばれる冷酷で無慈悲なシリアルキラーだ。

 アンジェロはビジュアルが個性的ゆえ、再現しにくい部分もある。しかし、山田さんは剃り落した眉毛や「何をするかわからない」という恐怖心を感じさせる鋭い眼光、特殊メイクによるくすんだ肌で、原作ではザコキャラだったアンジェロの不気味さを見事に表現した。

 制作発表の記者会見では、「自分の素と似ているのでリラックスしてやれる」と冗談交じりにおどけ、役を理解するために殺し方をたくさん考えたとも発言していた。この難しい役は、『闇金ウシジマくん』や『電車男』など、あらゆる役になりきる山田さんだからこそ再現できたのかもしれない。

■『闇金ウシジマくんSeason3 』中村倫也

 最後に紹介するのは、真鍋昌平さん原作の『闇金ウシジマくん』実写ドラマからSeason3 の「洗脳くん編」で一家を洗脳して金銭を巻き上げる不気味な男・神堂大道を演じた中村倫也さんだ。ただ、厳密に言えば自らが手を下すのではなく、洗脳されている「家族」が人を殺す。

 作中で中村さんは、光宗薫さん扮する雑誌社に勤める上原まゆみとの出会いを機に彼女の家族関係に入り込み、すべてを意のままに操っていく。そして、この洗脳過程の描写が凄まじいのだ。始めは優しく、次第に恐ろしい暴力と巧みな話術で人の心を壊していくのである。

 残忍かつ冷酷な目つきで精神的にも肉体的にも相手を追い詰めていく中村さんの演技はまさに圧巻。臨場感がありすぎて、見ているこちらの気持ちも重苦しくなってしまう。放送中はSNSでも「中村倫也ヤバい」という声が多く寄せられていた。本来は悪役だが、神堂の元に乗り込んだウシジマくんが救世主のように見えたものだ。

 漫画・小説問わず、あまりに悪役がハマっているとその俳優には「怖い人」というイメージが付きやすいものだ。しかしそれは俳優の演技力が高いからこそ。漫画やアニメのほかには、『死刑にいたる病』の阿部サダヲさんなど小説の実写化で殺人鬼を演じた俳優もいる。

 今回紹介した漫画の実写化作品は内容がダークなものが多いので、見るのにちょっと勇気がいるかもしれない。しかしどれも素晴らしい作品なので、まだ未視聴という方はチェックしてみてはいかがだろうか。

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