ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)による『キン肉マン』では、地球の平和を守るために戦う"正義超人"が登場する。その正義超人の一人で、今や知的な印象があるラーメンマンも実は初期は"東洋の悪魔"と呼ばれるほど残虐な行為が多いワルだった。その象徴的なシーンとして、キャメルクラッチでブロッケンマンの体を真っ二つに惨殺したことは有名だろう。
このように『キン肉マン』では、現在は人気者として活躍する正義超人・アイドル超人でも、初期ではひどい行為や残虐な行為をしていることがしばしば見られる。そこで今回は、正義超人たちの初期のワルな姿を紹介していく。
■なんと子どもを蹴り飛ばしたことも…「テリーマン」
まずは、テキサス出身のスーパーヒーロー・テリーマンから。テリーマンは作中最古参と言っていい正義超人で、キン肉マンの親友であり、良きライバルであり、名タッグパートナーである。子犬を助けるために身を挺して新幹線を止めるなど、ナイスガイな印象の強いテリーマンだが、彼も初期はワルだった。
コミックス第1巻「アメリカからきた男の巻」で、国民投票で日本専属のスーパーヒーローとなったテリーマンは人気抜群で、女の子たちのファンに囲まれキャーキャー言われるほど。しかしその一方、助けた相手には高額なギャランティを請求するなど、ビジネスで人助けをしているどこかイヤな感じの超人だった。
さらには、子どもが助けを求めてきた際、持っていた貯金箱に小銭しか入っていないのを見て、「ボーイ おとなをからかっちゃいけないよ!」と、なんとお金もろともその子を蹴り飛ばしたりもしている。
さすがにこの横柄な態度を見たキン肉マンから一撃を喰らい、その後は、純粋に人のために戦うキン肉マンの姿を見て改心。それ以降は、清々しいほどナイスガイで熱血な正義超人として生まれ変わっている。
■“復讐の鬼”となった「ロビンマスク」
次は、イギリス出身の正義超人ロビンマスクだ。
"ロビン王朝(ダイナスティ)"とも称される名門の超人一族に生まれたエリート正義超人。続編の『キン肉マンII世』では、ヒゲ付きマスクで貫禄が増し、正義超人を育てるためのヘラクレス・ファクトリーの校長になっている。紳士的な態度で正義超人の模範のような存在のロビンマスクだが、彼も初期に一度闇落ちしワルになっている。
第20回超人オリンピック決勝で、キン肉マンに敗れたことをきっかけに世界放浪。第21回超人オリンピックでは、不気味な姿のバラクーダに扮し、ウォーズマンのセコンド兼マネージャーとして再度キン肉マンの前に現れる。そのときのバラクーダことロビンマスクは、かつてのエリート超人としての面影はなく、まさに“復讐の鬼”となっていた。
復讐のためにウォーズマンを徹底して鍛え上げ、サーカス団の猛獣使いのようにムチを振るい、非情な命令を下し続け、さらに決勝では素顔を晒したら自害するという"覆面はぎデスマッチ"を提案し、徹底的にキン肉マンを苦しめようとしていた。