■頑強な構造がまさかの劣化原因に… コナミ作品編

 これまで紹介してきたように、ファミコンのパッケージ箱はプレミア価格がつくかどうかの重要な要素となっている。当時、夢中で遊んだタイトルであればあるほど、箱の劣化は避けられなくなってくるのが悩ましい点だ。

 加えてこのパッケージ箱だが、細かな構造や材質も発売会社によって異なり、劣化のしやすさも千差万別だった。中でも当時コナミから発売された作品たちは、他のファミコンソフトとは一味違った特徴を持っていたのである。

 それはパッケージを開封する際、開け閉めするふた部分の“爪”の強度。コナミ作品のパッケージ箱はこの爪が固いものが多く、開封する際にはなかなかの力が必要だった。それゆえ箱に対し圧がかかって、爪部分が変形してしまったり、しわができてしまったりと破損することが多かったのだ。

 こういった背景もあり、コナミ製のファミコン作品ではパッケージ箱の状態の良いものは特に貴重で、プレミア価格がつけられているものも多い。人気の高かった有名作品ともなると、なんと数万~十数万といった超高額になるものもあるというから、驚いてしまう。

 誰もが当時夢中になって遊んでいただけに、箱が傷付かないように慎重に開封していた……というケースのほうが少ないのかもしれない。

 作品を厳重に守るために備え付けられたであろう“爪”の強度だが、そのせいで箱の保存状態にまで影響を及ぼすとは、当時の開発スタッフや販売会社からすると予想だにしなかった事態だろう。

 

 当時ファミコンで遊んでいた人々からすれば、ゲームソフトを梱包するためだけの存在だった“パッケージ箱”。しかし今となってはその保存状態によって値段が激しく上下する、重要な要素のひとつにまでなってしまった。自宅にファミコンソフトがある方はぜひ、カセットを包む“箱”の状態にも目を向けてみてほしい。

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