1973年から2018年まで放送されていた『ポンキッキシリーズ』の第1作目として放送されたのが『ひらけ!ポンキッキ』だ。歌や踊りだけでなく幼児教育を目的としたカリキュラムも取り入れられていた本シリーズ。ガチャピンとムックが人気を博し、さまざまなタレントたちが出演したことでも話題となった。
惜しまれつつもシリーズは終了しているが、番組内では多くの名曲が誕生していたのをご存じだろうか。そこで今回は、誰しも耳にしたことがあるような『ひらけ!ポンキッキ』から誕生した名曲たちをご紹介していこう。
■社会現象になるほど大ヒット!『およげ!たいやきくん』
『ひらけ!ポンキッキ』を代表する名曲といえば、『およげ!たいやきくん』を忘れてはならない。高田ひろおさんが作詞を、作曲と編曲を佐瀬寿一さんが担当したこの曲は、“アニメソングの御三家”と言われる子門真人さんが歌唱し、渋い美声を響かせている。
毎日鉄板で焼かれる運命に嫌気がさし、たい焼き屋から逃げ出したたいやきくん。自由な海の世界に逃げ込むも、最後には釣り人に釣り上げられ食べられてしまう……と、あまりに悲しい結末が描かれた印象的な歌詞も印象的で、当時社会現象になるほど大ヒットとなった。
切ない雰囲気のイントロからはじまり、子門さんの伸びやかな歌声が物悲しく響くサビでは、楽しそうに海を泳ぐたいやきくんの姿を想像することができ、物語の奥深さに一本の映画を見たような気持ちにもなる。
子ども向けの曲ではあるものの、ストリングスアレンジが彼の運命を彩り、曲としての完成度も非常に高い。『およげ!たいやきくん』がリリースされた当時、生まれていなかった筆者でさえ歌ったことがあるこの名曲。世代を超えて愛されているのも納得だ。
■大ヒットシングルのカップリング曲『いっぽんでもニンジン』
前述した『およげ!たいやきくん』のカップリング曲としてリリースされた『いっぽんでもニンジン』もまた、誰しも耳にしたことがある曲だろう。前田利博さんが作詞を、佐瀬寿一さんが作曲をしたこの曲は、ダジャレのような歌詞がおもしろい数え歌になっている。
歌唱を担当したのは、俳優やタレントとしても活躍している、なぎら健壱さんだ。(本曲では「なぎらけんいち」名義)ムーディーな雰囲気ではじまるこの曲は、なぎらさんのコミカルで優しい歌声と、「1!」と元気よく数を数えているかわいらしいかけ声が面白かった。
タイトルにもなっている“いっぽんでもニンジン”と、思わず口ずさみたくなる親しみやすいメロディーが子どもたちに受け、この曲もまた『ひらけ!ポンキッキ』を代表する曲の1つとなった。
■最強タッグで制作されたシュールな一曲!『ホネホネ・ロック』
空前の大ヒットを記録した『およげ!たいやきくん』の翌年、高田ひろおさんと佐瀬寿一さん、そして子門真人さんの最強タッグで再びリリースされたのが『ホネホネ・ロック』だ。
シンセサイザーとギターの伸びやかなイントロからはじまるこの曲は、『およげ!たいやきくん』とはまた一味違った子門さんの歌声が楽しめる。ロック調に歌う子門さんのシャウトは、さすがは“アニメソング御三家”といったところだろう。
かなり刺激的な歌詞ではじまるため、のちに歌い出しが「ジャングル」に変更されたという、なかなかロックらしい逸話もあるようだ。
一度耳にしたら忘れられないサビ。思わず歌いたくなる楽曲というのは、名曲であるということを物語っているように思う。