ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)による大人気漫画の『キン肉マン』では、“ゆでたまご節”なる独特の世界観も人気の要因となっている。たまにとんでもない設定になっていることもあるのだが、それは日本の観光名所にも通じるものだ。
そこで、漫画『キン肉マン』に登場する、とんでもない姿に変わり果ててしまった観光名所を紹介していこう。
■意気揚々と自然破壊を…スプリングマンによって汚された「鳥取砂丘」
さて、最初は連載当時にはすでに国の天然記念物にもなっていた「鳥取砂丘」だ。ここは「完璧超人始祖編」のネメシスによって、サッカラの階段ピラミッドが登場した場所でもある。しかし、筆者的には小学生時代に読んだ「七人の悪魔超人編」に登場するスプリングマンが衝撃だった。
スプリングマンと対決したのはウルフマンで、舞台は鳥取砂丘に設置されたリング。とりわけサンド・デスマッチといわれており、土俵が得意なウルフマンに有利といえた。ところが、このスプリングマン、なにを思ったのか「ケケケー」と意気揚々とキックでリング外の岩を削り、なんと階段を作ってしまう。
おいおい、天然記念物になんてことをするんだバネ野郎!と思ったのもつかの間、今度はデビル・トムボーイでウルフマンの体をバラバラにしてしまう。この残酷な描写には衝撃を受けた。なるほど、砂丘に埋めれば完全犯罪……(ってなるわけないだろう)。
しかも、次戦のモンゴルマン戦で地獄のシャワーを浴びたときには「ながい間 フロにはいってねえからありがたいくらいだ!」などとほざいていたな。ということは、ウルフマン戦で岩を削ったときには、汚れたバネだったということだ。完全に汚されてしまった「鳥取砂丘」があまりに忍びない。
■「鯱が白鷺を銜えたーっ!!」もはやさまざまな法則を無視してしまった姫路城&名古屋城の合体
さて、「キン肉星王位争奪編」では城が合体するというとんでもない事態が起きた。姫路城でキン肉マンチームとゼブラチームが対決し、ラーメンマンがバイクマンに勝利すると、なぜかバイクマンが息も絶え絶えで超人預言書の内容を語ってしまう。
バイクマンが語ったその内容によると、“1985年8の月、鯱が白鷺を銜える時に強者が関の原に集う”という。そして姫路城と名古屋城が「ゴゴゴ」という唸りとともに浮き上がり、そこから空中を移動して合体してしまった。「鯱が白鷺を銜えたーっ!!」と驚いているのだが、いろいろなツッコミはもはや無粋だ。
そこに居合わせた超人たちもビックリしているのだが、慣性の法則や万有引力の法則も無視しているようでもあるので、ガリレオやニュートンも仰天だろう。しかし、さすがは歴戦の超人たち。すぐに受け入れ、“関ケ原の合戦”とばかりに気合を入れている。
でもこれって観客はどうするのだろう。だっていきなりの長距離移動だし、関ケ原古戦場って交通手段が大変なのでは……。帰宅困難者が続出しそうだな。