“マコ&アキの兄弟”や“ターバンを巻いた少年”も…『北斗の拳』ストーリーを動かした子どもたちの画像
『北斗の拳 究極版』第16巻(徳間書店)

 今年生誕40周年を迎えた、少年漫画の金字塔ともいえる『北斗の拳』(原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏)。新作アニメ『北斗の拳 −FIST OF THE NORTH STAR−』の制作も決まり、ファンが盛り上がりを見せている。

 そんな『北斗の拳』には、ストーリーに多くの子どもたちが登場するのをご存じだろうか。有名な子どもといえば、やはりリンとバットが挙げられるが、本作ではその2人以外にもストーリーのカギを握る多くの子どもが登場する。今回は、そんな印象に残る子どもたちの登場シーンを3選紹介しよう。

■この痛み…必ずあの男に届けてやろう ジャギにいたぶられたマコ&アキの兄弟

 2人の兄弟の存在により、ケンシロウの決心が固まったシーンがある。それがケンシロウVSジャギの戦いだ。

 北斗4兄弟の三男でケンシロウにコンプレックスを持っていたジャギは、ある日、足が不自由な兄のマコ、それをサポートする弟のアキに会う。ジャギの部下に絡まれ、兄をかばうため自分の右足を差し出そうとするアキ。それをかばった老人が「ほんとうにほんとうに よくできた弟なんです!!」と言ったところ、ジャギは「兄よりすぐれた弟なぞ 存在しねえ!!」と言って兄弟を引き離す。そして、アキは重石を足に付けられ砂漠に放たれ、ケンシロウに助けられるものの命を落としてしまうのだ。

 その後アキを抱えたケンシロウが殺気を感じて見ると、そこにはボウガンを持った兄のマコがいた。ケンシロウがアキを殺したと思い込んでいる兄に対し、ケンシロウはボウガンをあえて自分の胸に撃たせる。「この痛み…必ずあの男に届けてやろう」と言うセリフを残し、ケンシロウはジャギのもとへ向かうのであった。

 それまで自身のやさしさからジャギの命までは奪うことをしなかったケンシロウだが、この兄弟への仕打ちがきっかけで完全に兄への情を断ち切った。「きさまを生かしておいたおれの甘さを後悔している!!」と言い、最終的にジャギを打ち砕いたケンシロウ。兄へのやさしさを断ち切ったのは、このけなげな兄弟たちの存在も大きかっただろう。

■冷酷者に過去の愛情を思い出させた…サウザーの足を一突きしたターバンを巻いた少年

 少年の思い切った行動が、暴君の過去を呼び起こしたシーンもある。南斗鳳凰拳の伝承者・サウザーは聖帝軍を率いて残虐非道な行動を繰り返してきた。それに戦いを挑んだ南斗六聖拳のシュウだったが、愛すべき子どもたちを中心に人質に取られ、最後は聖帝十字陵の頂上で命を落としてしまう。

 それを見たシュウを慕うターバンを巻いた少年は、聖帝十字陵を登るサウザーの脚に鋭利な凶器を突き刺した。あわや少年の命もこれまでかと思ったが、凶器を引き抜いたサウザーはその少年の行動をきっかけに「愛ゆえに人は苦しまねばならぬ!!」と言い、なぜ自分が愛を捨てたのか、その壮絶な過去を語りはじめる。

 これまで残酷かつ傍若無人な振る舞いをしてきたサウザーだが、“お師さん”との絆エピソードは強烈だった。彼の過去に驚いた読者も多かったはずだ。

 最終的にケンシロウに敗れたサウザーだが、愛する師のもと穏やかな顔で旅立つのが印象的だ。お師さんへの愛を思い出させたのも、シュウの死に一矢報いた少年の行動があったからだろう。

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