■野犬の群れを彷彿とさせた…「ケルベロスバクゥハウンド」
最後は、SEEDの外伝作品『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』から、ボナパルト防衛戦「ケルベロスバクゥハウンド」のシーンを紹介する。
物語中盤、ロシア地方におけるボナパルト防衛任務にて、ミューディー・ホルクロフトという女性兵士が搭乗したMSブルデュエルが、敵MSケルベロスバクゥハウンドに片手足を切断され転倒。
ケルベロスバクゥハウンドは通常の二足歩行の人型MSとは違い、四足歩行の獣型MSだ。ミューディーはそのまま群がってきたバクゥハウンドの牙・ビームファングにコクピットを滅多刺しにされ、泣き叫びながら絶命してしまう。
MSの戦闘とはいえ、このシーンは飢えた野犬の群れが人間の少女を襲っているかのような連想ができ、先に紹介した2つの大型兵器とは異なる性質のトラウマシーンであると言える。
『STARGAZER』は、シリーズ1作目から年月が経過しファンの年齢層が上がっていること、また、テレビ放送ではなくネット配信やイベント上映を目的としていたことから、SEEDシリーズのなかでも、より過激で意欲的なシーンが多く組み込まれている。「ケルベロスバクゥハウンド」のシーンもその1つであった。
今回は、『ガンダムSEED』で視聴者が味わったトラウマシーンを厳選して3つ紹介してきた。『機動戦士ガンダムSEED』シリーズは、ファーストガンダムを意識しオマージュ表現も多く、戦争における悲惨さもしっかりと描かれている。ゆえに、ガンダムの王道を受け継いだ“21世紀のファーストガンダム”と呼ぶに相応しい作品だろう。
そして、来たる2024年1月26日、その『機動戦士ガンダムSEED』が完全新作の劇場版としていよいよ帰ってくる。次の劇場版は「令和のファーストガンダム」となりえる王道のガンダム作品としてガンダム史に名を残すのか、今から非常に楽しみである。