強固な装甲を持つガンダムに布のマントなんて合うわけが……あるから不思議。可動部分へのマントの巻き込みをしたり、マントの防御性能について心配したりは野暮。1979年に放送された『機動戦士ガンダム』以降、現在までテレビシリーズはもちろん、ゲームや漫画などが幅広く制作され、数えきれないほどのMS(モビルスーツ)が描かれてきた。その中には機体に布のマントを羽織った機体もあり、他機体とはまったく違う魅力を放っている。
■海賊クロスボーンのマントはカッコいいだけじゃない?
まずは多くのガンダムファンが「マント」と聞いて思い浮かべるであろう、漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』の主役機・クロスボーン・ガンダムX1だ。
宇宙海賊クロスボーン・バンガードの主力であるクロスボーン・ガンダムX1は、海賊らしく額に髑髏をあしらえ、背中には骨が交差したようなX字のスラスターを持つ特徴的なデザインのガンダム。海賊旗をモチーフにした異色の見た目で、ファンからも人気の高い名MSだ。
そんなクロスボーン・ガンダムX1や、その派生機体が纏うのは肩から全身を覆うA.B.C.マント。「アンチ・ビーム・コーティング・マント」の略で、その名の通り使い捨ての耐ビーム装甲になっている。
特殊素材がビームを受けた際に蒸発し、エネルギーを逃がすことで攻撃を防ぐ原理で、作中の機体のビーム・ライフルなら、5発程度はこのマントで防げるらしい。
とはいえ素材が高価なうえに、ビーム以外の攻撃にはそこまで有効でなかったため実用的とは言い難いものではあるのだが……。
余談だが、このマントは作画上線が多いMSを毎回書くのは大変だからというメタ的な理由で生まれたらしい。だが結果的にマントに身を隠したクロスボーンは、野性的でワイルドな機体にも、洗練され強さを秘めた機体にも見え、その魅力を増している。
■マントを纏う風格はもはやラスボスクラス?
次は『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』より、ガンダムサンドロック改だ。
大きな肩とトサカの付いた頭部、そしてテレビ版より長くなったヒートショーテルを持った、なかなかに個性的なサンドロック改が、『Endless Waltz』ではマントを身に着けて登場する。
このマントは、クロスボーン・ガンダムと同様に耐ビームコーティングが施されており、機体の首から下を覆い隠すかなり巨大なサイズ。作中では宇宙から大気圏突破のために装着されており、地球に降り立った後にパージされたため、実際の耐ビーム性能は不明のままだった。ただ、マント1枚で無傷の大気圏突破からサーペントの大群と即交戦しているあたり、実はかなり優秀な性能……なのかもしれない。
同じマントをまとった機体ではあるが、クロスボーン・ガンダムとは違い、歴戦の猛者のような出で立ちになるサンドロック改。またアラブの豪商の血を引くカトルが乗るためか、どこか中東の雰囲気を漂わせているのも面白いところだ。