『ジョジョの奇妙な冒険』川尻早人に『ドラゴンボール』ヤジロベー…バトル漫画で思わぬ活躍を見せてキーマンとなった一般人たちの画像
TVアニメ ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない Blu-ray BOX2 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会

 バトル漫画には、一瞬だけ登場して活躍することのないまま消えてしまうモブキャラがたくさんいる。「モブ」=「群衆」なので、「その他大勢」の1人として登場するわけだから、誰も活躍など期待はしていないのは当然といえば当然のことだ。しかし、モブキャラのように見せかけて実はキーマンだったというキャラクターも時として存在する。

 たとえば、バトル漫画ではないが『名探偵コナン』の高木刑事は、初登場からしばらくはいかにも脇役キャラだったが、徐々にメインキャラクターへと昇格していった。今回は、そんな高木刑事のように、モブキャラかと思ったら実は意外と重要な役割を果たしたというキャラクターを紹介していこう。

■『ONE PIECE』ウソップ海賊団の3人

 尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』(集英社)は、長期連載で登場キャラクターも膨大なため、モブキャラの宝庫といってもいいだろう。モブキャラたちが重要な役割を担っていることも多い。その中の一組が「ウソップ海賊団」のメンバーである、にんじん、ピーマン、たまねぎだ。名前からしてすでにモブキャラっぽい悪ガキたちだが、カヤを守るために活躍をしている。

 能力者でもない、ただの子どもたちなので戦力にはならないことは明らか。すぐに逃げ出すだろうと思われたが、最後まで諦めることなく、ジャンゴを撃破するきっかけを作った。力の差は歴然なのに、それを覆してしまうのには驚かされた。その活躍によってカヤは命を落とさずに済んだのだから、大金星だと言えるだろう。

 その後すぐに「ウソップ海賊団」は解散してしまうが、代わりに「ウソップ自警団」を結成。カヤの護衛を目的とした活動をしていて、その様子は連載扉絵「ジャンゴのダンス天国」で見ることができる。

 他にもこの3人は、ウソップの懸賞金が上がるたびに何度か登場し、成長した姿でウソップの活躍を喜んでいる。

■『ジョジョの奇妙な冒険』川尻早人

 荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)にも、数多くのキャラクターが登場する。その中には、あっさりと殺されてしまうモブキャラも多数含まれる。しかし、初登場時にはいかにもモブキャラっぽく見せつつも、かなり重要な役割を果たすキャラクターもいる。その代表格が第4部に登場する川尻早人だ。

 川尻早人は、初登場は陰気な雰囲気を持つ小学生で、父親である川尻浩作に成りすました吉良吉影にあっさりと殺されてしまう。読者としては、それ以前に「重ちー」こと矢安宮重清が爆殺されたことを知っているので、「また1人犠牲者が……」と誰もが思ったことだろう。しかし、そこからまさかの大逆転が始まる。

 早人は吉良吉影のスタンド、キラークイーンの能力「バイツァ・ダスト」によって生き返るが、同時に、時間が巻き戻るループに嵌まってしまう。殺されるまでの時間を何度も繰り返す中で、早人は仗助たちに助けを呼ぶ方法を必死に考えて、吉良を追い詰めることに成功したのだ。これは早人でなければ絶対に不可能だったことだろう。

 早人は吉良を倒すと決めてから、ガラリと性格が変わったような気がする。早人の見せる正義の心は、ジョースター家の持つ「黄金の精神」そのものだ。それが分かるのが、億泰が爆弾にされ仗助が触れられなかった場面だ。早人は億泰に触って爆発し、その瞬間に仗助に治してもらい爆発の解除をするというあり得ない行動を見せる。迷わずそんなことをやってのけた早人を見て、仗助は「プッツンしてるぜ~」と称賛していた。筆者もそんな早人にどんどん引き込まれていったのを覚えている。そして、スタンド使いではない早人が、最強のラスボスを倒す鍵になっているというところも面白い。

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