■異形の敵に一言「カニ料理は好みじゃない」
『北斗の拳』のストーリー後半に出てくる“修羅の国編”では、カニのような形相をした敵キャラ“シエ”が出てくる。不帰の谷にて、地中に身を潜めてケンシロウを待ち伏せるシエ。しかしあっさりケンシロウに見破られ、シエは「ぬガニャ~」というセリフとともに地上に出現する。
シエはカニのようなコスチュームに覆われ「ガニニニ!!」というセリフを吐き、敵キャラのなかでもかなりユーモラス。それを感じてなのか、ケンシロウも「オレはカニ料理は好みじゃないんだがな……」と、珍しくジョークのようなセリフを口にしている。
全体的におふざけ感が否めないこの戦い、ケンシロウの過去が暴かれるシリアスな展開のなか、読者の間でも話題になったシュールなツッコミだ。
■【番外編】トキ「今のおまえには残り1%の勝機もない」
最後に、トキの冷静なツッコミ!?を紹介したい。
これは南斗六聖拳のレイがラオウに敗れ、ケンシロウがラオウに戦いを挑む場面から続く。瀕死となったレイが、ラオウに戦いを挑むケンシロウに「お…おまえは生きねばならん!」と戦いを阻止しようとするのだが、ケンシロウは「たとえ99%勝ち目がなくとも…1%あれば…戦うのが北斗神拳伝承者としての宿命だ!! 」と言って戦いに挑む。この時のケンシロウの場面には「キラッ」と擬音が入っており、いかにもセリフが決まった感じである。
しかしその後トキが合流し、レイと同じく戦いを止める。それに対してケンシロウは同じように「たとえ99%の勝機はなくても」と真顔で言うのだが、トキはすかさず「いや…今のおまえには残り1%の勝機もない」とツッコむ。
「な!!」と慌てる様子を見せるケンシロウは珍しい。
いつもは冷静なケンシロウを動揺させられるのも、兄であるトキならでは。ケンシロウより多くの経験を積んでいるだけあって、冷静沈着に弟の実力をストレートに伝える場面はちょっと面白い。
今回はケンシロウがさりげなく相手にツッコんだセリフを中心に紹介した。『北斗の拳』は全体的にシリアスなうえ、主要キャラの多くは無口で深い静寂感が漂う。そのため、ちょっとユーモアのあるセリフは読者に強い印象を残すのだろう。完全新作アニメも話題になっている『北斗の拳』、そこでつぶやかれるセリフにもぜひ注目したい。