■正午から1分の間無敵『七つの大罪』エスカノール
次は鈴木央氏による『七つの大罪』(講談社)に登場するエスカノールだ。こちらはかなり桁違いのレベルアップといってもよい。
メリオダスの仲間のひとりであるエスカノールは、太陽の魔力を持ち、その力は謎だらけだったが、魔人化したメリオダスとの戦いにおいて時間制限の能力を発揮する。
魔人化したメリオダスの強さは「チートすぎる」と絶望するほど飛び抜けていたが、そんなメリオダスに対抗するかのようにエスカノールが見せたのが、時間制限の必殺技「天上天下唯我独尊(ザ・ワン)」だ。
エスカノールが最大限に力を発揮するのは、太陽が上り切った正午からわずか1分。これまで手も足も出なかったメリオダスの攻撃をもろともせず、逆に手刀から繰り出される「聖剣エスカノール」でメリオダスを倒してしまう。
これまでに分厚い筋肉と強さを見せてくれたエスカノールだが、それを上回る化け物のような姿になっていた。時間制限付きとはいえ、ここまで強すぎると逆に清々しく感じる。
■わずか4秒の間に真の能力を見せる『BLEACH』朽木ルキア
最後は、久保帯人氏による『BLEACH』(集英社)に登場する朽木ルキアだ。ルキアの斬魄刀は氷雪系と呼ばれるもので、十番隊隊長・日番谷冬獅郎と同系統の能力を持つ。しかし、隊長の日番谷とは規模も威力も明らかに違いすぎる……。
ルキアの持つ斬魄刀「袖白雪」は、円を描いた範囲内を空中まで凍結させる能力。対して日番谷の斬魄刀「氷輪丸」は、大気中の水分を利用することができるため、広範囲に渡っての凍結が可能となる。まるで山本総隊長の「残火の太刀」に匹敵する力だ。
日番谷と比べて見てしまうとルキアの能力は弱く見えるが、それが覆されることになったのが、エス・ノトとの戦い。ここで「袖白雪」の真の能力を知ることになった。
「袖白雪」の本来の能力は、所有者自身の肉体を氷点下以下にすることで、攻撃範囲のあらゆるものを瞬時に凍結させることが可能となるというもの。そのうえでの活動時間は、たったの4秒……。それでも、4秒間のルキアは無敵状態に等しい。
この能力は、「氷輪丸」よりも凍結速度が速く相手が気づかないほどで、それまでのルキアの能力とは一線を画する。しかし、ゆっくりと能力を解除しないと体が砕けてしまうというリスクもある。正に諸刃の剣のような能力といってもいいだろう。
時間制限付きの必殺技は面白いものばかりだが、不発に終わる可能性もある。相手が仮に時間いっぱい逃げ回っていたとしたら、ひょっとしたら見せ場もなく終わってしまうかもしれない。それはそれで悲しすぎる……。