『ガンダム』シリーズにおいて、戦艦がモビルスーツに勝っている描写はほとんど無い。むしろ、数隻の戦艦がたった1機のモビルスーツに撃墜されてしまうなど、歴代シリーズではモビルスーツの引き立て役として戦艦が使われるようなシーンが目立つ。
しかしピンポイントでは、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において、ラー・カイラムの機銃によって、紫のパーソナルカラーを持つエースパイロットのレズン・シュナイダーを撃墜するなど活躍するシーンもある。今回は『ガンダム』シリーズでモビルスーツの引き立て役になりがちな「戦艦」の、実はスゴい部分を見ていきたい。
■アナハイム技術のフルコース「ネェル・アーガマ」
まずは『機動戦士ガンダムZZ』から、アナハイム・エレクトロニクス社がアーガマに次いで建造した強襲揚陸艦「ネェル・アーガマ」だ。
ネェル・アーガマには同型艦が存在しておらず、それだけにアナハイムのユニークな技術がふんだんに使われている。船体下部に備えるハイパー・メガ粒子砲は超火力の一撃必殺の武装で、資料によるとコロニーレーザー並の威力。
他にも2連装大型砲2門と、単装砲2門。更に単装副砲2門と、艦船としてはかなりの高火力。側部に備え付けられているソーラー・ウイングも高性能で、ソーラー発電が可能となっている。劇中では、膨大なエネルギーを使うハイパー・メガ粒子砲使用時のサブエネルギーとして利用されている。
それだけでなくモビルスーツの積載能力も高い。「第一次ネオ・ジオン戦争」時点では12機、後の「ラプラス事変」においては16機のモビルスーツが搭載可能となっている。
「08小隊」がモビルスーツとホバートラックの4機編成だったことを考えると、3~4小隊が、戦艦のバックアップを受けながら戦えることになる。ネェル・アーガマには前方5か所、後方1か所の計6か所のカタパルトデッキが配置されており、本編ではその実力が発揮されていないものの、モビルスーツの運用上取り回しが良さそうである。
■『ガンダム』随一の長寿メカとなった「サラミス」
続いては『機動戦士ガンダム』の序盤から登場している地球連邦軍巡洋艦「サラミス」。対モビルスーツ戦や、モビルスーツの運用を想定していないサラミスは、この時点で既に時代に取り残されている感は否めず、劇中では何隻もまとめて撃沈されているシーンばかりであった。
しかしその後、「サラミス改級宇宙巡洋艦」へと改良され、モビルスーツ戦に適応した。資料によると、前方の上部甲板から単装砲などを取り除き、カタパルトを配置したとされている。
サラミス改は『機動戦士Vガンダム』においても、現役の艦船が複数確認でき、水上で運用されているタイプも見受けられる。
改修前のサラミスは、少なくとも宇宙世紀0079年には運用されている。そして『Vガンダム』の年代は宇宙世紀0153年から始まる。ということは、少なくとも74年は実用されていることになるのだ。
74年の運用年数は、モビルスーツを含めて『ガンダム』シリーズのメカニックの中でも最長クラス。ザク、ジム、ジェガンといった息の長い量産機以上の運用機関である。やられ役から、最長運用兵器に大躍進した戦艦だ。