8月31日から満を持しての放送開始となった、アニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」。2021年に公開された劇場版に引き続きKing Gnuとタッグを組んだOPでは、この先の物語を暗示するような暗澹たる空気感がスタイリッシュに描かれており、話題を集めている。
ところでこのOP映像には、キャラクターが“領域展開”をしたり式神を召喚したりするときの手が印象的に描かれた場面がある。今回は、作品内で”掌印”と呼ばれるこの独特な手の形に注目してみたい。
■密教の“印”と酷似している?
漫画ではお馴染みの、忍術や幻術を駆使する際に印を結ぶ姿。そもそもこの“印”とは、釈迦の行いや伝説を表す仕草として、仏像にとらせるポーズだったという。その後、日本で密教が広まった際に、各仏像が持つ徳や悟りを表すものとしてさまざまなパターンが生まれたそうだ。
『呪術廻戦』で登場する掌印も、密教の諸尊の印とよく似たものが見られる。作者・芥見下々氏が公の場でモチーフについて言及したわけではないので、あくまで“似ている”という域を出ないが、アニメ既出のものからいくつかに絞って紹介していく。
■最強の術師・五条悟と最強の武神・帝釈天
多くの人が真似したであろう、五条悟の領域展開「無量空処」。片手のみの印で、右手の人差し指を立て、それに中指を軽く絡ませる。
この印と近いのが、帝釈天の印だ。こちらは左手の中指を立てて人差し指を絡ませる形だが、形状自体は非常によく似ている。
“柴又の帝釈天”としてもお馴染みのこの神様、前身はインド神話最強の武神・インドラ神だったという。武神の名残もあってか、仏教では梵天と並んで天部最高位の守護神として祀られており、必勝祈願や国家安泰などのご利益があるそうだ。
ともに最強、国家の存続を担う存在という点で、五条と似通った性質を持つ帝釈天。ちなみに、京都・東寺の帝釈天は、仏像マニアの間ではイケメンと話題らしい。ある意味これも共通点と言えなくもない……?