『キテレツ大百科』『エスパー魔美』も実写化済み!いくつ知ってる?実は実写化されていた藤子・F・不二雄作品の画像
藤子・F・不二雄大全集『エスパー魔美』(小学館)

 2023年の5月から6月にかけてNHK総合テレビの「夜ドラ」枠にて放送された藤子・F・不二雄さんの漫画を原作とした実写化ドラマ『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』が大きな話題を集めた。1話それぞれ15分の短編ドラマをベテランから若手までさ​​まざまな俳優が演じ、「SFはサイエンス・フィクションではなく少し不思議な物語」とした藤子さんの世界観を見事に表現した。

 藤子・F・不二雄さんの漫画作品は、このほかにもさまざまなタイトルがこれまで実写化されている。

 たとえば、2008年には「値ぶみカメラ」「あいつのタイムマシン」「かわい子くん」などの短編作品を6週に渡って放送したドラマ『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース』(WOWOW)がある。こちらも藤子節を感じるSF作品で、長澤まさみさんらが出演。まるで藤子さんが現代という未来を見越していたかのように錯覚するような、大人でも唸る作品が実写ドラマとして映像化された。

 今回は「実は実写化されていた」藤子・F・不二雄作品を振り返りたい。

ドラえもん』と並んでマスコットキャラクター的な人気を誇る「コロ助」の登場する『キテレツ大百科』も、2002年元旦にNHK『ドラマ愛の詩』のスペシャル番組として『キテレツ』というタイトルで実写化されている。

 気になるコロ助の実写化だが、姿はCGによって作られ他のキャストの演じるシーンと合成され、声はアニメで初代コロ助を演じた小山茉美さんが担当している。元々のファンも「解釈違い」を起こさないですむ表現方法だろう。

 1話限りの放送のためそこまで知名度は高くないが、実はキャスティングは意外にも豪華なもの。印象的な浪人生のキャラクター・刈野勉三は山本耕史さんが演じており、主人公のキテレツの父は人気声優の山寺宏一さんが俳優として参加している。

 同じNHK『ドラマ愛の詩』で2002年1月クールに12話に渡って放送されたのがドラマ『エスパー魔美』だ。魔美がダンス部に所属しているなど設定に変更も見られるが、このドラマは土曜の夕方に放送されていたため、記憶に残っているという人も少なくないだろう。

 この他、原作漫画の知名度自体もそこまで高くないものの、1987年には『バケルくん』を原作とした『藤子不二雄のバケルくん』がフジテレビ系『月曜ドラマランド』枠で実写化ドラマとして放送された。主人公の名前が変更され性別も女性になっていたり、超能力が使えたりと、当時の実写化作品にありがちだった大胆な改変も多く見られる。なお主人公の「かわる」はアイドルデビューから間もなかった畠田理恵さんが演じていた。

 藤子・F・不二雄さんの作品は『ドラえもん』『キテレツ大百科』などアニメが有名であるが、近年で実写化作品が有名なのは藤子不二雄Aさんの作品だろうか『笑ゥせぇるすまん』は過去に2度ドラマ化されており、1999年のテレビ朝日系ドラマでは伊東四郎さんが喪黒福造役を担当。2010年には大野智さん主演で『怪物くん』がドラマ化され、2004年には香取慎吾さんが主演した『忍者ハットリくん』の映画『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』が公開され、いずれも大きな話題を集めた。

 それぞれの実写化をあらためて比較してみると、Fさんの作品は短編が大人向けSF作品で、それ以外は比較的低年齢向けのものが多い。逆に『笑ゥせぇるすまん』などブラックユーモア色の強い印象のあるAさんの作品は、80年代に児童雑誌に掲載した『怪物くん』『忍者ハットリくん』などが幅広い年代に受け入れられた。大野智さんや香取慎吾さんといった人気絶頂にあるアイドルのキャスティングも大きなポイントだったのかもしれない。 

 どちらにせよ、膨大な数の作品を遺した両氏。これからも実写化によって新たな層に魅力が伝えられていく可能性は大いにありそうだ。

  1. 1
  2. 2