■実績で優秀さを示した「ガンダムMk-II」

「ガンダムMk-II」はNT-1アレックスのようなワンオフ機ではないものの、少数生産されたのみの機体。しかも主人公機である。

『機動戦士Zガンダム』の1話で登場し、デザインはRX-78ガンダムを正統に進化させた、オーソドックスな見た目。色合いも比較的シックでリアルな兵器感がある、まさに次世代ガンダムだ。

 だがこちらも劇中での活躍を振り返ると、やはり強い印象は無い。カミーユ機以外は、それほど目立った活躍は無く、カミーユ機もRX-78ガンダムのような超人的な活躍は少なめだ。

 劇中でもすでに時代遅れとなっていたのか、開発主任であるフランクリン・ビダンからは「あんなもの」呼ばわりされてしまう。

 それもそのはず、正真正銘、平凡なモビルスーツなのである。材質に関しては、むしろ古めのチタン合金セラミック複合材が使われている。そのほかのスペックもごく平凡なものだ。

 しかし、基礎スペック以外の面では画期的な部分がある。ムーバブルフレームや全天周囲モニターを本格採用した初のモビルスーツなのだ。両方とも、その後のモビルスーツの標準装備となる機能である。歴史的に見ても、モビルスーツの大きな転換点の一つであろう。

 ガンダムMk-IIの拡張性も優秀さの1つだ。これといった特徴が無いガンダムMk-IIであるが、それゆえか、追加オプションパーツが豊富だ。大気圏突入用のフライングアーマー、火力や装甲強化のGディフェンサー、ベースジャバーの機動性とメガバズーカランチャーの火力を持つメガライダーとの連携。さらにはフルアーマー化のプランもあった。

 また実績として、第一次ネオ・ジオン戦争を、撃破されずに戦い抜いている。グリプス戦役初期のモビルスーツが、ゲーマルクやクィン・マンサといった大型モビルスーツが次々と登場した時代でも役割が持てたということである。数値上のスペック以上の優秀さがあったのであろう。

 こうして見ていくと、陸戦型ガンダムと同等か、やや上のスペックで、一年戦争の最後まで活躍し、NT-1アレックスを乗りこなせるであろうアムロの異常な強さを感じる。そう考えると、ガンダムMk-IIで第一次ネオ・ジオン戦争を戦い抜いたエル・ビアンノも、隠れた実力者かもしれない。

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