■『高校鉄拳伝タフ』強面NBAプレイヤーが格闘家に?
猿渡哲也さんによる『高校鉄拳伝タフ』(集英社)は、主人公の宮沢熹一が色々な格闘家と戦うストーリー。そのため、数多くの格闘家がモデルとなったキャラクターが登場する。最初の宿敵となった日本最大のプロレス団体「ワールド・プロレス」総帥のアイアン木場は、その面長の風貌からもアントニオ猪木さんというのがすぐに分かった。そして、「バーリ・トゥードの王」と呼ばれる柔術家ゴードン・クランシーは、明らかにグレイシー柔術のヒクソン・グレイシーさんがモデルである。
他にもプロレス、空手、キックボクシングなど様々な格闘技で一斉を風靡した人物が分かりやすくモデルになっていた。しかし、ファイトスタイルそのものを真似するわけではなく、あくまで似ているのは容姿だけで、必殺技などは作中オリジナルのものだ。そんな多くの格闘家がモデルとなっている中で、特に驚いたキャラクターがいた。それが「露土馬」(ろどま)である。
黒竜寺の魔物として恐れられる格闘家だが、どこかで見たことがある……筆者は容姿を見てすぐピンときた。かつてアメリカのバスケットボールのプロリーグ、NBAで活躍していたデニス・ロッドマンさんである。確かにロッドマンさんは破天荒なライフスタイルでコート外でも注目を集めた屈強な選手で、引退後にはプロレスにも参戦したことがあるほどだが、まさかバスケットボール選手まで格闘家のモデルにしてしまうとは斬新な発想だと感嘆したものだ。
漫画に登場するキャラクターが、実在の著名人をモデルにしていると分かると、「この見た目や名前のキャラクターが作中でどのように活躍するのだろうか?」とワクワクさせられる。それが意外な人物の場合もあれば、ぴったりハマっている場合もあるが、元々のイメージ通りであっても、逆にギャップを感じさせるものであっても、そこには現実とは違うからこその楽しさがあると言えるだろう。