■歴史好きにはアツい展開! 老いてなお“新撰組・鬼の副長”の土方歳三
金塊争奪戦には、新撰組副長として有名な土方歳三も参戦している。史実の土方は戊辰戦争で命を落としたが、作中ではひそかに生き延びていたという設定で登場する。時代設定が日露戦争後なのですでに高齢ながらも、変わらず国を想う志と、圧倒的な迫力が彼の魅力だろう。実写版では舘ひろしさんが演じる。
そんな土方の最初の見せ場が、第21話「亡霊」の一場面だろう。盗賊団を率いる渋川善次郎を仲間に引き入れようと、交渉に向かった土方。「協力するか殺し合うか」「どちらか選べ」と渋川に凄むシーンもさることながら、交渉決裂と見るや否や、左手にライフル、右手に日本刀を持って「皆殺しだッ‼」「ひとりもここから逃がすなッ‼」と100%攻撃に転じる姿は、いくら年老いても“新撰組・鬼の副長”はまだまだ健在なのだと感じさせる。
近代史を背景に土方歳三の活躍を拝めるというのも、歴史好きにはまたアツい。
■変態的な囚人たちの「煌めき」は描かれるのか…?
主要キャラはもちろんのこと、キワモノ揃いの入れ墨の囚人たちが魅せる物語も、本作の見どころの一つと言っていいだろう。
序盤で登場する有名な囚人は、熊撃ちの達人・二瓶鉄造と、殺人鬼・辺見和雄だ。二瓶は、アシㇼパの元相棒である日本最後のエゾオオカミ・レタㇻとの一騎打ちに執着し、命をかけた「獣と獣の殺し合い」を望んだ。一方で辺見は、人間が死に抗う姿に「煌めき」を感じ、それ見たさに殺人を重ねてきた男だ。杉元が持つ激しい煌めきに惹かれ、彼に殺されたいと願う。
個人的には、二瓶とレタㇻの勝負の結末も、誰からも理解されない辺見の願望に杉元が応える場面も、序盤屈指の名場面ではないかと思うのだが……果たして実写版で描かれるのかどうか。ひそかに期待したい。
以上、実写版『ゴールデンカムイ』に期待したい名場面を挙げてみた。映画公開は2024年1月19日予定となっている。折しも公開時期はちょうど真冬、本作の世界観にはぴったりの季節だ。北海道の厳しくも美しい自然の描写にも期待しつつ、冬を待つことにしたい。