原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏による漫画『北斗の拳』は、1983年9月13日から『週刊少年ジャンプ』で連載され、80年代のジャンプ人気を牽引してきた作品だ。
『北斗の拳』といえば、重厚で熱いストーリー、そして原氏が描く大迫力の絵が魅力的。核戦争後の世紀末の世界を舞台にしており、通常では考えられないような巨体の悪漢が数々登場するが、それ以外にもあまりの強さから拳や肉体がとんでもなく大きく描かれているキャラも珍しくない。
主人公・ケンシロウの生涯最大の「強敵(とも)」で、北斗4兄弟の長兄でもあるラオウは、スケールも野望もデカいが、図体そのものもデカい。世紀末覇者・拳王としての強大さを描写するために、ラオウが何倍にも大きく描かれているのだ。
ちょうど9月13日は、40年前の連載開始を記念して日本記念日協会により認定・登録された「北斗の拳の日」。今回はそれを記念し、迫力がすごかったラオウの「巨大コマ」をいくつか振り返っていきたい。
■人間大の拳!? 風のヒューイ戦での一コマ
まずは、南斗聖拳最後の将を守護する南斗五車星の一人、風のヒューイとラオウとの戦闘から。
ヒューイは風の旅団を率い、ラオウ本隊の行く手をはばんでいた。「わが拳は 風を友とし風の中に 真空を走らせる」というセリフとともに、とてもクールに登場する。そこにラオウが到着し、その暴凶を止めるべく戦いを挑む。
問題の一コマは、この戦いで描かれた。ラオウの「ぬう!!」と気合いを入れた直後のコマで、拳が巨大化しヒューイを襲うシーンだ。ページのおよそ半分ほど使ったこのコマいっぱいにラオウの拳が描かれており、ヒューイの顔のおよそ5~6倍の大きさはある。もちろん実際に拳がデカくなったのではなく、ラオウの強大さ・迫力を出すために、そしてヒューイが感じたプレッシャーを表現するためにそう描かれているのだろう。
ヒューイは残念ながらこのパンチ一発であっさりとやられてしまう。かっこよく登場したもののわずか数コマで退場。ラオウには「そんなやわな拳ではこの体に傷ひとつつける事はできぬ!!」と言われ、噛ませ犬感すらあった。
ちなみに、次に出てくる炎のシュレンもラオウにあっさり倒され、こちらも噛ませ犬になってしまっている。
■ラオウの右腕=ジュウザの全身 雲のジュウザ戦での一コマ
続いて紹介するのは、南斗五車星の一人・雲のジュウザ戦での一コマだ。ジュウザは、北斗の長兄・ラオウや次兄・トキとは、幼少期からの知り合い。ラオウ、トキにも匹敵する才能の持ち主とも評されていた。だが幼少から愛してやまない女性・ユリアを腹違いの妹と知り絶望し、以来腑抜けた存在になってしまう。
享楽に身を任せ生きていたが、南斗最後の将の顔を見るや、覇気を取り戻しラオウとの勝負を挑む。そして「撃壁背水掌」でラオウに一撃を与えるも、ジュウザは秘孔をつかれ拳が使えなくなってしまう。もう後はないと決断し、「めいどのみやげに腕一本もらっていくぞ!!」と言い、ラオウの右腕を固める。
件の一コマはここだ。ラオウの右腕に絡みついたジュウザの全身が、ほぼラオウの右腕ほどのサイズなのだ。そのときのラオウの拳だけでジュウザの頭部2つ分。さらにラオウはジュウザを抱えたまま、「拳王の肉体は砕けぬ! 折れぬ!朽ちぬっ!!」と言い放ち、難なく右腕を持ち上げてしまう。
ジュウザも弱くもなく小さくもないのだが、それだけラオウが強いということを表した一コマだろう。